2008年2月11日(月)「しんぶん赤旗」

主張

道路特定財源

浪費と増税続ける理由はない


 ガソリン税などの巨額の税収をもっぱら道路につぎ込む道路特定財源と、本則税率を二倍に増税している「暫定税率」をどうするのか、国会内外の議論が熱気を帯びています。

 福田内閣は道路特定財源と「暫定税率」の維持に固執していますが、その主張に何の道理もないことがますますはっきりしてきました。

経済財政諮問会議も

 福田内閣が道路特定財源と「暫定税率」を続ける最大の理由にしているのが、今後十年の「事業量」を五十九兆円とする「道路中期計画」です。国民生活に本当に必要な予算を積み上げるのではなく、まず五十九兆円の総額を確保し、それを使い切る旧態依然としたやり方です。

 経済財政諮問会議の民間メンバーからさえ「道路財源の総額を前提とした計画となっており、“なぜ、財政の厳しい現状で、これらの道路の整備が必要なのか”という説明が十分ではない」と批判が出ています。

 福田康夫首相らは通学路の歩道整備や段差解消などバリアフリー化、防災対策が大事だと言いますが、五十九兆円のうち、これらを全部合わせても一割程度にすぎません。

 道路中期計画は「基幹ネットワーク」の名目で二十四兆円を計上しています。その内容は高速道路やバイパス道路など自動車専用の大型道路であり、これだけで全体の四割を占めています。参院予算委員会で、「基幹ネットワーク」の事業量の根拠をただした日本共産党の仁比聡平議員に対して、国交省の道路局長は今年度の大型道路の予算を十倍に延ばしただけだと答えました。極めていいかげんなどんぶり勘定だということが明白になっています。

 国交省は中期計画に、二十年前の「第四次全国総合開発計画」(四全総)が掲げた一万四千キロの高速道路建設を明記しました。バブルに浮かれた大型事業の大盤振る舞いであり、必要性と採算性が大問題になって小泉内閣では「白紙に戻す」と表明せざるを得なかった放漫計画です。

 二〇〇二年に閣議決定した「改革と展望」は、こうした計画の必要性そのものを見直し、計画が必要な場合も「事業量」目標をやめるべきだとしています。当時の塩川正十郎財務相は「これからの長期計画は全部金額を入れない」と明言しました。

 バブルの大盤振る舞いと総額使いきりの浪費を復活する中期計画は撤回し、生活に必要な道路整備を優先して通学路の安全確保やバリアフリー化、災害対策に厚く財源を向けることです。そうすれば総額も減らせるはずです。

温暖化対策を言うなら

 福田首相は「暫定税率」を続ける理由として「地球温暖化問題への対応」を強調しています。中期計画も「地球温暖化対策」を掲げ、渋滞対策で自動車の二酸化炭素の排出を減らすと主張しています。

 しかし、昨年三月に発表された環境省の報告書は、自動車の利用が増えると道路特定財源によって道路建設の財源が増え、道路交通も増えると指摘しています。さらに、渋滞を理由にした道路整備が新たな交通量の増加を招くと指摘し、「道路特定財源の一般財源化は、地球温暖化対策の観点からも重要である」とはっきりのべています。環境対策を掲げた税金で道路を造っている国など世界にありません。環境を言うなら、なにより特定財源をやめて環境対策にも使えるようにすることです。

 根拠が崩壊した道路特定財源は一般財源化して「暫定税率」を撤廃すべきであり、環境対策としては環境税の導入を検討するよう求めます。



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