2008年1月24日(木)「しんぶん赤旗」
5歳未満児の死亡
初めて1千万人割る
06年
ユニセフの『子供白書』
二十二日に公表された国連児童基金(ユニセフ)の『世界子供白書2008』は「子どもの生存」がテーマです。世界で五歳未満児の死亡は二〇〇六年に九百八十万人となり、史上初めて一千万人の大台を割りました。一方で、国際社会がさらなる削減に向けた努力を具体化するように求めるものとなっています。
二〇〇〇年の国連ミレニアムサミットを受けて、二〇一五年までに極端な貧困を半減するという「国連ミレニアム開発目標」(MDG)が設定されています。
その八大目標のうちの第四目標は、子どもの死亡率を一九九〇年基準の三分の二に削減することを掲げています。今年の白書は、世界の子どもの死亡は低下の傾向にあるが、この第四目標を全世界で達成するにはさらに大きな努力が必要だと指摘しています。
白書によると、中国では一九九〇年以来二〇〇六年までに、出生十万人に対する五歳未満児の死亡率を四十五人から二十四人に47%削減しました。またインドでもこの期間に死亡率を34%低下させました。
同じ時期にバングラデシュ、ブータン、ボリビア、エリトリア、ラオス、ネパールの六カ国では50%以上死亡率を低下させました。エチオピアは五歳未満児の死亡率が三十人と高率ですが、一九九〇年と比べると40%も低下させたことが特筆されます。
白書は、前進が見られなかった六十二カ国中、アフリカ諸国が約75%を占めるなどの実態も明らかにしています。とくにサハラ以南のアフリカ諸国、中東・北アフリカ諸国、南アジア諸国での前進が遅れていることを指摘しています。
白書は、子どもの死亡率削減のMDG達成のためには、世界全体で毎年9・4%の削減を続けていくことが必要だとしています。
白書は、MDG第四目標を達成するためには、▽貧困と飢餓の削減(MDG第一目標)▽妊産婦保健の向上(同第五目標)▽エイズ、マラリアその他の主要疾患対策(同第六目標)▽必要な医薬品の恒常的な供給(同第七目標)―など、多分野での行動促進が必要だとしています。
白書は、二〇〇〇年に始まった全世界的なはしかの予防接種キャンペーンで、世界全体で約68%、アフリカでは90%以上、はしかによる死亡を低下させたことを紹介しています。
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