2008年1月24日(木)「しんぶん赤旗」

主張

衆参代表質問

経済政策の軸足転換が不可欠


 福田康夫首相の施政方針演説など、政府四演説にたいする衆参両院本会議での各党の代表質問を聞きました。日本共産党からは衆院で志位和夫委員長が、参院では市田忠義書記局長が質問に立ちました。

 福田首相は施政方針演説で、「生活者が主役」「国民本位」などの言葉を繰り返しました。志位委員長や市田書記局長の質問は、国民生活の打開策を真正面から提起したものです。

家計を温めることこそ

 国民の暮らしはいま、小泉内閣以来の「構造改革」路線のもとで貧困と格差が耐え難いまでに拡大し、それこそ「底が抜けてしまった」といわれるような深刻な不安と危機に見舞われています。大企業の利益が増え続ける一方で労働者の賃金は継続的に減り続け、家計が消費や貯蓄に回せるお金・可処分所得は「戦後最悪の不況」といわれた一九九七年に比べてもおよそ一割も減っています。国民の暮らしを支援し、家計を温めることは、中小企業などの売り上げを伸ばし、地域の経済を立て直すうえでも、待ったなしの課題です。

 そうした国民生活の深刻な事態を打開するために志位委員長が取り上げたのは、人間の尊厳さえ奪う派遣労働の規制強化など雇用や社会保障、農業と食料、税金などの問題です。市田書記局長が取り上げたのは、国民の負担軽減や労働法制の見直し、最低賃金の引き上げ、中小企業への支援などです。

 なかでも違法派遣や偽装請負など、「無法の巣くつ」とされている派遣労働の規制強化は喫緊の課題です。大企業が労働コストを削減するため、政府の「規制緩和」路線の後押しを受けて進めてきた非正規労働の拡大は、労働者に異常な低賃金を押し付け、まじめに働いても結婚もできないなど劣悪な労働条件をもたらしています。労働者は、社会保険にも入れず、「ハケン君」としか呼ばれないなど差別を押し付けられ人間としての尊厳さえ奪われています。

 志位委員長が、政府の約束さえ踏みにじられていると指摘し、派遣法の抜本改正による規制強化を迫ったのに対し、福田首相は「労働者も多様な働き方を求めている」などとのべ、深刻な実態を認めることも規制強化に踏み切ることにも背を向けました。これでは首相の「国民本位」という言葉が口先だけになります。

 市田書記局長が取り上げた「医療崩壊」ともいうべき事態の打開も一刻の猶予も許されないものです。市田氏は医師不足を解決するための抜本的な増員を求めるとともに、「医療崩壊」がこれほど深刻なのだから、政府は公立病院の統合・廃止・縮小をやめるべきだと迫りました。福田首相がこれにたいしても明確な約束をしなかったのは、首相の発言の「偽装」ぶりをここでも示しています。

政治そのものを変えて

 代表質問に対する首相の答弁には、国民生活の深刻な事態をもたらした責任の自覚も、そのための具体的な処方せんもありません。道理ある主張にも耳を傾けず、ただただこれまでの破たんした路線にしがみつくだけでは、首相が「国民本位」という責任を果たすことはできません。

 志位委員長や市田書記局長は、「企業が栄えれば、国民生活がよくなる」という政府のシナリオが完全に破たんしていることを指摘、経済政策の軸足を大企業から、家計・国民へ転換させることを強く主張しました。国会論戦と国民のたたかいで追い詰めるとともに、政治の根本からの転換がいよいよ重要です。


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