2008年1月21日(月)「しんぶん赤旗」

薬害肝炎救済スタート

全面解決 恒久策へ全力

日本共産党 小池参院議員に聞く


 厚生労働省は、薬害C型肝炎ウイルス感染の原因となった血液製剤のフィブリノゲンと、クリスマシンなど第九因子製剤の納入先、約七千五百の医療機関名と所在市区町村を掲載した政府広報を十七日付の一般紙に折り込みました。ところが、「広報が届かない」など苦情が同省やマスコミ各社に殺到しています。薬害肝炎被害者の救済スタートにあたってどこに問題があるのか、何が求められているのか日本共産党の小池晃参院議員にききました。


「広報届かぬ」「カルテない」… 苦情どう解決

写真

(写真)小池晃政策委員長

救済の対象は?

 ――薬害肝炎救済法が十六日施行されました。救済の対象になる人はどんな人たちですか?

 小池 フィブリノゲン製剤では、一九六四年以降に「フィブリノーゲン―BBank」「フィブリノーゲン―ミドリ」「フィブリノゲン―ミドリ」「フィブリノゲンHT―ミドリ」を投与された人です。第九因子製剤では、一九七二年以降に「PPSB―ニチヤク」「コーナイン」「クリスマシン」「クリスマシン―HT」を投与された人です。

 妊娠中や出産時、手術、新生児出血症などで使われました。肝炎にかかったけれどもその後治癒した人、感染者の遺族、感染者から母子感染した人も救済の対象になります。

 投与された当時のカルテなどの書類が残っている場合だけでなく、医師、看護師、薬剤師などによる投与事実の証明や本人、家族などによる記録、証言も考慮されますので、「カルテがないので駄目」と、あきらめずに医療機関の協力を得てください。

 医療機関が廃院となっている場合などは、都道府県の窓口にご相談ください。

 ご自分がC型肝炎に感染しているか分からず不安な方は、保健所での無料の検査を受けることができます。

5年以内に請求

 ――給付金の請求はいつまでにすればいいのですか?

 小池 二〇〇八年一月十六日から五年以内に請求しなければなりません。症状が悪化すれば追加給付金を請求できますが、その場合は、症状が進行したことを知った日から三年以内に請求してください。

情報ていねいに

 ――厚生労働省は、政府広報を全国で三千万部配布したと言っていますが、三百五十万人いるといわれる肝炎患者・感染者の不安に応えるものになっていません。厚生労働省は何をしなければいけないでしょうか?

 小池 まず量の問題です。一般紙の発行部数の七割程度に折り込んだだけで届いていない家庭がたくさんありますし、新聞を購読していない人もいます。あらゆるマスメディアを利用して、国民に周知徹底する必要があります。

 もう一つは、分かりやすい内容に改善する必要があります。政府は、医療機関に対してカルテや投薬記録の有無なども調査したのに、政府広報には医療機関名しか載せていません。「アリバイ的だ」という批判の声も上がっています。私が国会で要求して、病院名だけでなくカルテなど保存されているか分かるようにさせました。厚生労働省のホームページにはそれが掲載されていますが、もっとていねいな情報提供が必要です。

 医療機関の協力も欠かせません。自主的にカルテを調査し、患者さんに知らせている医療機関もあります。厚生労働省は、こうした取り組みを支援し、広げるべきです。

350万人の対策を

 ――国は、甚大な被害を発生させ、被害の拡大を防止し得なかった責任を認めた上で、全面救済へのスタートとして始めたのに混乱を招いています。これからの課題はどんなことでしょうか?

 小池 「命の線引きをするな」という原告団のたたかいで被害者救済の法律ができました。日本共産党国会議員団は、原告の願いの実現のために全力で奮闘してきました。大きな一歩です。

 同時に残された問題点もあります。

 血液製剤がフィブリノゲンと第九因子製剤に限られたこと、血友病など先天性疾患や集団予防接種でB型肝炎に感染した被害者などが救済対象から除外されたことです。厚生労働大臣は、B型肝炎訴訟の原告と面談もしていません。

 救済法は、C型肝炎訴訟の加害企業の責任と謝罪が盛り込まれていないため、製薬企業の責任と償いや再発防止について未解決です。

 今回、混乱をもたらしたのは、三百五十万人といわれる肝炎患者・感染者全体に対する対策がないままに、約千人の限定された薬害被害者に部分的な救済しかしないことから起きています。

 三百五十万人の患者・感染者全体の対策が必要です。

 日本共産党は、引き続き全面解決と恒久対策の実現のために全力をあげます。


問い合わせ先

 厚生労働省窓口専用フリーダイヤル0120-509-002※2月29日(金)まで9時30分〜20時、土・日・祝日を除く

 厚生労働省ホームページhttp://www.mhlw.go.jp/

 厚生労働省が政府広報で発表している47都道府県の主な相談窓口は次の通り。

 ▼北海道健康推進課011-231-4111(25-414)医務薬務課011-231-4111(25-572)

 ▼青森県医療薬務課017-734-9289保健衛生課017-734-9284

 ▼岩手県保健衛生課019-629-5467・5466

 ▼宮城県薬務課022-211-2652

 ▼秋田県健康推進課018-860-1424

 ▼山形県保健薬務課023-630-2315・2332

 ▼福島県医療看護グループ024-521-7238薬務グループ024-521-7232

 ▼茨城県保健予防課029-301-3220薬務課029-301-3393

 ▼栃木県健康増進課028-623-3086薬務課028-623-3120

 ▼群馬県保健予防課027-226-2609薬務課027-226-2663

 ▼埼玉県疾病対策課048-830-3572

 ▼千葉県薬務課043-223-2614疾病対策課043-223-2662

 ▼東京都健康推進課03-5320-4363疾病対策課03-5320-4471薬事監視課03-5320-4519

 ▼神奈川県薬務課045-210-4964

 ▼新潟県医薬国保課025-280-5187健康対策課025-280-5200

 ▼富山県健康課076-444-3225くすり政策課076-444-3234

 ▼石川県健康推進課076-225-1438薬事衛生課076-225-1442

 ▼福井県医務薬務課0776-20-0346健康増進課0776-20-0352

 ▼山梨県健康増進課055-223-1494

 ▼長野県健康づくり支援課026-235-7148薬事管理課026-235-7157

 ▼岐阜県保健医療課058-272-1111(2543)薬務水道課058-272-1111(2573)

 ▼静岡県薬事室054-221-2414疾病対策室054-221-2441厚生部企画監054-221-2404

 ▼愛知県医薬安全課052-954-6305健康対策課052-954-6272

 ▼三重県薬務食品室059-224-2330

 ▼滋賀県医務薬務課077-528-3634

 ▼京都府薬務室075-414-4786健康対策室075-414-4726

 ▼大阪府フィブリノゲン製剤相談対応チーム06-6944-6266(専用)

 ▼兵庫県薬務課078-362-3269

 ▼奈良県薬務課0742-27-8673健康増進課0742-27-8658医務課0742-27-8645

 ▼和歌山県薬務課073-441-2660健康対策課073-441-2643

 ▼鳥取県医療指導課0857-26-7226健康政策課0857-26-7194

 ▼島根県薬事衛生課0852-22-5254・5259健康推進課0852-22-5329

 ▼岡山県医薬安全課086-226-7340

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 ▼香川県薬務感染症対策課087-832-3303

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