2008年1月20日(日)「しんぶん赤旗」

主張

「日雇い派遣」指針案

派遣法の抜本改正は不可欠


 違法行為が常態化し、不安定な働き方の典型として改善の必要性がさけばれていた「日雇い派遣」について、グッドウィルなど派遣会社が処分されたのにつづき、厚生労働省が新しい指針案をまとめました。

最小限の改善要求

 「日雇い派遣」は携帯電話やメールで連絡をうけ、どんな仕事かわからないまま毎日、違う駅に集まり、違う現場で働かされます。違法で危険な仕事だと気づいても、文句をいえば次の日から仕事を紹介してもらえなくなり、不当な扱いにがまんしているのが実態です。

 指針案は、派遣会社が「データ装備費」などの名目で賃金から二百円程度天引きしている行為について、理由が明白で労使協定を結んでいる場合以外は禁止。会社の指示で最寄り駅に集合し、バスなどで作業現場に移動する時間も労働時間として把握し、賃金を払うこととしています。

 二重派遣のような不正行為を防ぐために、事前に就業条件を把握することや定期的な巡回を派遣元に命じ、派遣先にも就業条件の周知徹底や就業場所の巡回をおこなうことなども要求しています。

 これらは「日雇い派遣」で働いている労働者が、せめてこれだけはと訴えていた最小限の要求にこたえたものといえます。

 グッドウィルやフルキャストなど「日雇い派遣」業界の大手が違法行為を摘発され、事業停止命令をうけている事態は、働く者の弱い立場につけいり、やりたい放題をくり返してきた結果にほかなりません。違法を野放しにしてきた厚労省の責任はきわめて重いものがあります。問題企業の処分や労働者保護の指針をつくったとしても、これで解決というわけにはいきません。

 日本経団連は、労働者派遣法のいっそうの規制緩和で違法状態の合法化をはかり、「使い捨て雇用」の拡大を狙っています。労働者、労働組合が「日雇い派遣」の禁止など派遣法改正を求めて大きな運動をおこしましたが、厚労省は法改正を見送りました。問題だらけの法律をそのままにし、指針でお茶を濁すのが厚労省の姿勢だとしたら許せません。

 派遣労働者がモノのように扱われているひどい状態を改善するには、派遣法の抜本的な改正が必要です。

 日本共産党は昨年十二月、「労働者派遣に新しいルールを確立し、派遣労働者の正社員化と均等待遇を実現します」という法改正要求を発表しました。派遣法を「派遣労働者保護法」に改めて派遣労働者の権利を保護する、派遣は臨時的・一時的業務に制限し、常用雇用型を基本として日雇い派遣は直ちに禁止する、派遣期間の上限を一年としこれを超えたら正社員にする、同じ仕事は同じ待遇という原則を貫く、賃金のピンハネを規制する―などの内容です。

 この提案は、各方面から「力強い」「なんとしても実現させたい」などの反響が寄せられ、インターネット上でも話題になっています。日本共産党はいま、提案をもとに労働組合などと広く懇談し、合意をはかり、共同のたたかいを強化する努力をつくしています。

指針を生かしながら

 この間、労働者、労働組合は粘り強いたたかいで厚労省を追い詰め、サービス残業根絶通達、偽装請負是正通達などを出させ、これを武器に大きな成果をかちとってきました。

 「日雇い派遣」指針も、非人間的な待遇の改善に生かすとともに、その力を抜本的な法改正へ大きく発展させることが求められています。



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