2008年1月18日(金)「しんぶん赤旗」

全美容師に残業代

大手「アッシュ」に払わせた

338人、未支給の4800万円


 一人の勇気ある告発がきっかけとなり、全従業員に残業代を支払わせる―首都圏美容師ユニオン(首都圏青年ユニオンに加入)は十七日、厚生労働省内で記者会見し、大手美容室チェーン「Ash(アッシュ)」で働く美容師三百三十八人全員を対象に、約四千八百万円の残業代支払いを勝ち取ったことを発表しました。


 同ユニオンの柳勝也代表(23)は、美容業界では「二人分の労働をさせ、『修業』と称した徒弟制度で長時間労働、低賃金がまん延している」とのべ、未払い残業代を支払わせたことは美容業界に働くルールを確立するうえで大きな意義を持っていると力をこめました。

 柳さんは二年半前、美容師になる夢を抱いて入社しましたが、十六時間を超える長時間労働や終日のチラシ配り、不払い労働、不当な天引きなど無法行為のオンパレード。年収は二百万円ほどしかなく、家にも帰れず、美容室の床で寝る日々を強いられ、体を壊して休職に追い込まれました。

 柳さんは「夢を抱いた青年を使い捨てるやり方は許せない」と首都圏美容師ユニオンの代表となり、カットコンテスト会場で宣伝するなど世論と運動を広げてきました。

 記者会見で首都圏青年ユニオンの河添誠書記長は、「正社員ワーキングプアの温床というべき美容業界で、美容師が団交で勝ち取った大きな成果」と強調。しかし、払われた残業時間も示されておらず、すべての不払い労働の支払いを求めていくとのべました。

 「美容業界の常識は世間の非常識」とのべ、不透明な天引きや社会保険未加入の違法行為など、業界全体の労働条件を改善していきたいとのべました。



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