2008年1月16日(水)「しんぶん赤旗」

主張

臨時国会閉幕

「ねじれ」の正体見えてきた


 参院選の結果をうけて始まり、二度にわたる延長で会期が百二十八日間を数え、異例の越年国会ともなった臨時国会が閉幕しました。

 参院で自民・公明の与党が過半数を失い、与党が議席の三分の二を占める衆院との「ねじれ」がいわれた国会です。その結果は、自公の敗北で国民の声が政治を動かす新しい条件が生まれたことが浮き彫りになる一方、政権が福田康夫内閣に代わっても政治の基本は変わらず、参院で多数を占めた民主では自民党と大きな違いはないことが明らかになりました。「ねじれ」は衆参の間ではなく、自民・民主の「二大政党」と国民の利益にあることが見えてきました。

国民の利益にてらして

 臨時国会で、衆院と参院の与野党の勢力構成が違ったのに、長年の課題だった被災者生活再建支援法の改正や薬害肝炎の被害者救済法が全会一致で成立したのは、国民の利益に立つ政策の実現に、衆参の「ねじれ」は障害ではないことの証明です。国民が強く求める政策なら、与党でも野党でも賛成するのは当然で、同意しなければ批判を免れません。

 実際、薬害肝炎の被害者の救済では、政府は当初、薬害の原因となった血液製剤が投与された時期で被害者を差別しようとしましたが、被害者の命をかけた運動と国民の批判で、福田首相もついに全員救済を「政治決断」せざるを得ませんでした。国民の声が政治を動かす条件はより広がったことを示します。

 与野党が一致する、国民の利益に立った法案は通るが、一致しない法案は通らないのが衆参の「ねじれ」なら、本来、国民の利益にならない法案は提出をあきらめるのが政府・与党のとるべき態度でしょう。

 ところが、臨時国会中に安倍晋三政権を引き継いだ福田政権が持ち出したのは、国民の意思に背き、アメリカの戦争を支援する新テロ特措法です。政府・与党はこの法案を成立させるためだけに会期の延長を繰り返し、最後は参院での否決を衆院の再可決でひっくり返すという言語道断なやり方で押し通しました。この政権が、アメリカ追従・大企業本位の政治路線を貫く政権であることを浮き彫りにしたものです。

 しかも、その福田首相と民主党の小沢一郎代表が、臨時国会さなかの昨年十一月会談し、自・民の「大連立」を話し合い、海外派兵のための恒久法などで合意したというのは、民主党と自民党が「同質・同類」であることを示したものです。こうした「二大政党」の正体こそ、国民の利益との「ねじれ」そのものです。

 民主党はテロ新法をめぐっても「対案」なるものを提出して、政府案にさえない、恒久法づくりなどを求めました。民主党はテロ新法の継続をいいだし、小沢代表は再議決の本会議を退場し、ひんしゅくを買いました。民主党案が、衆院では自民党も賛成して継続審査となったのは、海外派兵の拡大に大きな火種を残したものとして、絶対に見過ごせない重大問題です。

自民政治の根本転換を

 こうした臨時国会の結果が示しているのは、総選挙の結果、この「二大政党」がどんな形で政権についても、政治の根本的な転換はありえないということです。

 国民は今、自公政治に代わる政治はどうあるべきかの探求の過程にあります。政治の根本的な転換には、アメリカと財界に軸足を置いた政治から、国民に軸足を置いた政治への転換を訴える、日本共産党の役割がいよいよ重要です。


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