2008年1月12日(土)「しんぶん赤旗」

新テロ法案再議決動議への

穀田議員の反対討論

衆院本会議


 日本共産党の穀田恵二国対委員長が十一日の衆院本会議でおこなった、新テロ特措法案の再議決を求める動議にたいする反対討論は次のとおりです。


写真

(写真)反対討論にたつ穀田議員=11日、衆院本会議

 参議院は、本日午前の本会議で、新テロ特措法案を否決しました。政府・与党は、この参議院の意思を重く受け止めるべきであります。衆議院の三分の二議席という数の力でくつがえすことは、断じて許されません。

 そもそも新テロ特措法案は、六年間におよびアメリカの「対テロ戦争」を支援してきたことへの総括も反省もなしに、この間のアフガニスタンや国際情勢の変化をかえりみず、国民世論を無視して、「再派兵、先にありき」ですすめられたものであります。

 安倍内閣は、昨年七月の参議院選挙で大敗し、アメリカに誓約した給油活動継続の見通しが立たない下で政権を投げ出しました。そして、十一月一日、自衛隊はインド洋から撤退したのであります。これこそ民意に合致したものでありました。

 にもかかわらず、福田内閣は、再派兵するために新法なるものを提出し、二度にわたり会期を延長し、さらに参議院が否決するや、ただちに衆議院の三分の二の多数でくつがえし、成立をはかろうというのであります。

 これは、参議院での審議内容やその意思を一顧だにせず、数の力を頼んで何が何でも押し通すというものであり、議会制民主主義をふみにじる数の横暴、歴史的暴挙と言わねばなりません。

 しかも、法案の内容は、憲法九条を真っ向からふみにじる、米軍の戦争支援そのものであります。

 自衛隊がインド洋でおこなうのは、米軍などによる報復戦争・掃討作戦への補給支援活動であります。政府は、自衛隊による補給は、「海上阻止活動」をおこなう艦船に限定すると言ってきましたが、実際には、アフガニスタンやイラクへの空爆作戦を含む、あらゆる米軍艦船にこれまでどおり給油できるというのが政府答弁であります。まさに、憲法違反の海外での米軍戦争支援法であることは、明白であります。

 テロに対し報復戦争で対応してきたことが、新たな憎しみと暴力を生み、アフガン情勢の泥沼化をつくりだしてきたことを直視すべきです。戦争でテロをなくせないことは、いまや明らかであります。

 アフガニスタンでは、カルザイ大統領自身が、空爆に反対し、タリバンを含む武装勢力との交渉による「平和と和解のプロセス」に踏み出しています。いま日本がなすべきは、こうした和平プロセスを支援する外交努力であり、アメリカに戦争をやめよときっぱり言うことであります。

 ブッシュ政権がいまだに軍事力による打開に固執している中で、軍隊を派兵している同盟国からも、軍事中心の手法から和解を促進させる戦略に重点を移すべきだ、「大幅な方向転換」が必要だという声があがっています。軍事支援に固執し自衛隊を再派兵することは、こうした変化を全く見ないものであり、まさにアメリカ追随のきわみと言わなければなりません。

 こうしたもとで、どの世論調査でも、給油活動に反対が賛成を上回っているのであります。しかも審議をすればするほど、反対の声が高まっている実態を、「国民の理解と協力を得てすすめる」と繰り返しのべてきた福田総理と与党が無視することは、断じて許されません。

 いま、国民が求めているのは、日米軍事利権の徹底解明であります。輸送機などの兵器調達、「米軍再編」、ミサイル防衛など、守屋防衛事務次官のもとですすめられてきた防衛政策そのものが根幹から腐敗にまみれているのであります。「油を出すより、腐敗と疑惑のうみを出せ」というのが、まさに国民の声であります。

 以上、本法案は、六年間におよぶ米軍戦争支援の実態にてらしても、アフガニスタンの現実や国際社会の変化からいっても、また国民多数の世論からみても、全く道理はありません。憲法九条に違反し、アメリカいいなりで、米軍の軍事支援に固執することはやめるべきです。

 新テロ法案「否決」という参議院の意思を重く受けとめ、きっぱり廃案にすることを重ねて主張し、再議決に反対する討論をおわります。


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