2008年1月12日(土)「しんぶん赤旗」

新テロ特措法案

与党の再議決強行受け志位委員長が会見


 日本共産党の志位和夫委員長は十一日、衆院本会議での新テロ特措法案の再可決を受けて記者会見し、次のように述べました。


ひとかけらの道理もない再議決

写真

(写真)会見する志位和夫委員長=11日、国会内

 ―政府・与党の再議決をどう受け止めていますか。

 政府・与党の歴史的暴挙に強く抗議します。この再議決にはひとかけらの道理もありません。

 まず第一に、どの世論調査をみても、国民の多数が法案に反対し、再議決に反対する意思を表していました。この多数の意思を踏みにじるものです。

 第二に、法案の内容が、テロ根絶に逆行する軍事支援法であり、憲法違反です。

 第三に、これを進めた勢力は軍事利権にまみれています。

 これはどこからみても、道理のない、ひとかけらの大義もない、歴史的暴挙であり、強く抗議します。

 ―通常国会では同じような再議決という場面が起きてくると思いますが、今後どう再議決に抵抗していきますか。

 国民の多数の声でこういう暴挙を繰り返させないという世論を広げていくことが一番の力になると思います。

 今回も私たちは、年末・年始にかけて、独自にこの問題について「しんぶん赤旗」号外もつくって配布し、国民運動とも連携をつよめ、国民世論に訴えました。かなり世論も変わり、反対が多数になる状況がつくられました。それを無視しての暴挙は許しがたいことですが、今後も国民の声で暴挙を包囲していくとりくみが大切です。

政府に2つの“助け舟”出した民主党

 ―今回、民主党によびかけて参院で首相問責決議案を出すことも可能だったと思いますが、どのようなタイミングで出すことになるのですか。

 問責決議案というのは、最も効果的な場面で行使することが必要です。わが党だけで判断できることではないので、野党間での意見の調整が必要になることです。

 ただ、野党の関係でいうと、私は、政府・与党が今回の歴史的暴挙をすすめる過程で、民主党が果たした役割はきちんといっておかなければならないと思います。

 民主党は法案には反対の態度をとりましたが、最終盤になって、政府・与党に二つの“助け舟”を出したといわなければなりません。

 一つは、「対案」なるものを出したことです。この「対案」の中身は、海外派兵の恒久法の制定、アフガン本土への陸上自衛隊の派兵、「海上阻止行動」そのものへの海上自衛隊の参加など、海外派兵を、憲法を踏みにじってすすめるという点では政府案以上に危険なものです。このことは結果として、政府・与党の暴挙に対する“助け舟”になったと思います。

 それからもう一点、最終盤になって民主党が継続審議を主張しました。継続審議とは廃案を求めないということです。これまで、民主党は、廃案をともかく求めてきたのに、最終盤になって、廃案を求めないというふうに百八十度態度を転換しました。これはわが党をはじめ他の野党の反対で取り下げましたが、こういう迷走をしたことも“助け舟”になりました。

 前者の“助け舟”は、参院で民主党提出の法案が可決され、衆院に送付され、衆議院で自民党は継続審議にするということを、いま、いいだしてきているようです。仮にこの法案が継続審議ということになると、より危険な派兵法案が来国会に持ちこされることになります。つまり自衛隊の海外派兵拡大の重大な火種をつくったということになるわけで、民主党の果たした役割は批判されなければならないと思います。

米国いいなり政治の転換を求めていく

 ―今後のたたかいについてはどうですか。

 今後の問題としては、私たちはこんなアメリカいいなりの政治を続けていていいのかということを大きく国民に問うて、大本のところでの転換を求めていきたいと思っています。

 今度の再派兵法案のごり押しを見ても、アフガニスタンの現実が求めていることにこたえるということではなくて、ただアメリカに約束したから、アメリカいいなりに、自衛隊の再派兵をするという異常なアメリカいいなりの姿勢が本当にあらわになりました。

 私たちは、こうした事態の大本にある安保廃棄を主張する政党ですけれども、まずは海外派兵法案は、アフガンへの派兵もイラクへの派兵もすべて撤廃する、アメリカいいなりに進められている「米軍再編」の動きにもストップをかけていく、そしてアメリカいいなりから脱して本当の平和・自主外交に転換していくことを大きく求めてたたかっていきたいと決意しています。

小沢氏の途中退席について

 ―民主党の小沢一郎代表が本会議を途中で退席して採決に加わりませんでした。

 これは、棄権ということになるわけで、野党第一党の党首として、無責任であり、本当に国民に説明のつかない行動だと思います。党首が、堂々と反対の旗を掲げられないというのはいったいどういうことなのか。

 ―大阪府知事選の応援があるので、といっていましたが。

 それがもし理由だとしたら、国会議員として絶対に許されない無責任な行動だと思います。与党が、五十数年ぶりの三分の二での再議決という歴史的暴挙をはたらこうとしているときに、それに反対の一票を投じるということは国会議員として最優先でやらなければならない責務であって、それに優先する仕事などあろうはずがないと思います。はっきりいって驚きました。

 先ほど民主党は二つの“助け舟”を出したといいましたが、それを象徴する行動だと思います。


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