2008年1月7日(月)「しんぶん赤旗」

主張

08年のスポーツ

競技者が真価を発揮する年に


 ことしは、オリンピックをはじめ、競技スポーツに耳目が集まる年です。トップ選手の活躍とともに、スポーツ界の動きが注目されます。

 十三日から大相撲一月場所が開幕しますが、深刻なファン離れの打開を迫られています。横綱の身勝手な振る舞いや、新弟子への暴力・致死事件をふまえて、充実した土俵をどう回復するか、いかに力士の人権を尊重していくか、角界の体質改革は“待ったなし”です。

競技に打ち込める環境

 二月にはサッカーのワールドカップの男子アジア予選がいよいよ始まります。三月には若い日本選手の活躍が見もののフィギュアスケートの世界選手権が控えています。気になるのが、人気競技にたいしていたずらに絶叫したり、一部選手の追っかけに走る報道姿勢です。高水準のプレーと表現をじっくりと観戦できてこそ、深い感動は伝わるものです。

 高校野球は春の選抜が八十回、夏の選手権が九十回の節目を迎えます。昨年は、プロ球団の「裏金」問題と特待生制度の是非をめぐって大きく揺れ動きました。求められているのは、関係者も球児もあらためて学生野球の原点に立ち返り、ひずみを正す一歩を堅実に踏み出していくことではないでしょうか。

 目白押しなのがオリンピックの代表権がかかる選考会です。ベテランの力の発揮はもちろん伸びざかりの選手の台頭を願い、アジア予選をやり直す男子ハンドボール、最後の出場枠に望みをつなぐ男女のバレーボールなどの奮起に期待したいと思います。競技団体に問われているのが、だれもが納得できる明確な選考基準の確立であり、選手が競技に打ち込める環境を整えることです。

 四年に一度のオリンピックの今回の開催地は、中国の北京です。第二十九回夏季大会は八月八日から、身体障害者のパラリンピックは九月六日から始まります。アジアで三回目、隣国での開催だけにその成功を願ってやみません。

 北京大会がかかげる理念のひとつが「緑の五輪」です。温暖化や異常気象などから地球環境を守る世界規模の行動の一端を、オリンピックは担わなければなりません。北京はスモッグなど大気汚染が著しいと聞きます。熱中症の防止や選手の健康保持に、大会関係者の本腰を入れた対策が求められていますし、マラソンなど炎天下のレースの実施には細心の注意を払ってほしいものです。

 ドーピング(禁止薬物使用)汚染とのたたかいでも、スポーツを通じた世界平和への貢献でも、北京オリンピックが新たな跳躍台になることを願っています。

五輪の理想を追う

 ちょうど今年は、「スポーツは人間の基本的権利である」と宣言したユネスコの体育・スポーツ国際憲章が制定されてから三十年目です。憲章は、競技スポーツのあるべき姿をつぎのように提言しています。

 「競技スポーツは…オリンピックの理想にしたがって、それを最高の典型としている教育的スポーツの目的につねに役立つことをめざさなければならない。それはけっして利潤を追求する商業的関心に影響されてはならない」(第三条)。

 フェアプレーの精神をつらぬき、人間的な発達と可能性を切り開いていくことは、二十一世紀の競技スポーツの発展方向だといえるでしょう。世界の競技者とともに日本選手がオリンピックや国際舞台で、競技のうえでも交流の面でもその真価を発揮する年でありたいものです。


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