2008年1月3日(木)「しんぶん赤旗」

主張

08年の世界

平和と進歩の流れを加速せよ


 長期化するイラクやアフガニスタンでの戦争を契機に、紛争やテロは武力によってではなく、平和的・外交的手段で解決せよという声がますます大きくなっています。

 アジア、アフリカ、ヨーロッパ、ラテンアメリカなど、世界各地で、アメリカの軍事覇権主義に反対し、国連憲章の「平和原則を守れ」を合言葉にした動きが広がっています。世界を平和と社会進歩の方向に大きく変えるこの流れを、確かなものにしていくことが求められます。

軍事一本やりは破たん

 アメリカがはじめたアフガニスタンへの「報復戦争」はことし開始から七年目、イラク戦争は五年目を迎えます。しかし二つの戦争は両方とも失敗があきらかになっています。

 イラクだけでも戦争による民間人の犠牲は途方もなく増えつづけています。イギリスの世論調査機関ORBは、これまでの犠牲者数は百万人以上にのぼる可能性があるといっています。米軍の犠牲は開戦から大規模戦闘の終結まで百四十人程度だったものが十二月下旬までに三千九百人になりました。多国籍軍全体では四千二百人を超えています。

 戦争に反対する世論は国際社会ばかりか、当のアメリカ国内でもつよまっています。昨年十一月に米CNNテレビとオピニオン・リサーチ社が共同でおこなった世論調査では、68%がイラク戦争の不支持を表明しています。歴代政権の中枢を担ったアーミテージ元米国務副長官とナイ元米国防次官補も昨年十一月に公表した報告書で、「アメリカの姿と影響力は世界中で低下」「軍隊は思想とたたかうには多くが不毛な方法」というほどです。

 アメリカに協力している「有志連合」も、いまやアメリカのいいなりではありません。スペイン、イタリアが多国籍軍から完全撤退したあとも、撤退・削減の流れはつよまるばかりです。イギリスも部隊の削減にふみだし、政権交代したオーストラリアは撤退方針をあきらかにしています。イラク戦争を続ける米「有志連合」路線の破たんは明白です。

 五年前、イラク戦争の開戦をきっかけにして世界に広がった「国連憲章の原則と精神を守れ」を合言葉にした平和の流れはますますつよまっています。平和をめざす地域共同体づくりも発展し、東南アジアでは、武力行使を禁止し紛争の平和的解決をめざすASEAN(東南アジア諸国連合)友好協力条約(TAC)への加盟が二十四カ国に増えました。TACだけでも世界人口の57%を占めているように平和の流れは明確です。東アジアを「平和と繁栄の共同体」にする努力も進んでいます。

 ラテンアメリカではイラク戦争反対、平和の流れが大勢です。弱肉強食の新自由主義に反対し、アメリカに依存しない自立した経済に向かうなかで、新しい平和的共同体をめざす動きも広がってきています。

平和外交への転換を

 ブッシュ政権でも、問答無用の勝手な論理で戦争を進めるやり方が通用しなくなり、北朝鮮問題などでは交渉による解決を前面に押し出さざるを得なくなっています。

 日本政府がこうした「変化」も理解せず、軍事優先の路線を進みつづけるなら、それこそ国際社会のなかで孤立するのは避けられません。

 世界に広がる平和的流れは、日本の憲法九条がめざす方向とぴたりと一致しています。日本に求められるのは、ことしこそ、自民・公明の政治を変え、世界の平和と社会進歩に貢献する道を進むことです。


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