2007年12月29日(土)「しんぶん赤旗」

薬害肝炎 国の責任明記

被害者を一律救済 与党案

原告の運動、政治動かす


 薬害C型肝炎問題をめぐり、与党の肝炎対策プロジェクトチーム(PT)は二十八日午後、国会内で記者会見し、議員立法の薬害C型肝炎被害者を一律救済する法律案の骨子と、裁判の和解に必要な基本合意書案を公表しました。


 議員立法に関しては、薬害肝炎原告団の運動や世論に押され、福田康夫首相が二十三日、被害者の一律全員救済を表明していました。

 骨子は、前文で「政府は、感染被害者の方々に甚大な被害が生じ、その被害の拡大を防止し得なかったことについての責任を認め、感染被害者の方々に心からおわびすべきである」とし、薬害の発生と拡大に対する国の責任を認めました。

 給付対象者は「フィブリノゲン製剤または第九因子製剤を投与され、C型肝炎ウイルスに感染した者(治癒したものを含む)およびその相続人」で、投与の時期は問いません。対象者の認定は、製剤の投与の事実、因果関係の有無などから、裁判所が行うとしています。給付金を支払うための基金を創設します。

 また、その他の事項として、被害者が安心して暮らせるような治療体制の整備などの措置を講ずるとし、肝炎被害者の恒久対策の努力の必要性も盛り込まれました。

 会見に同席した薬害肝炎全国弁護団の鈴木利広代表は、「二十四日に原告・弁護団の意見を申し上げたが、すべての項目について、法案、基本合意案骨子のなかに入っている」と評価。同時に、「この法律の成立によってすべての問題が解決されるわけではない」とし、さらなる支援を訴えました。

 与党は、骨子をもとに野党とも協議を行う意向を示すとともに、来年一月四日には法案として、原告団に再度、提示したいとしています。


法案成立 一日も早く

志位委員長が会見で表明

写真

(写真)記者会見する志位和夫委員長=28日、国会内

 日本共産党の志位和夫委員長は二十八日、記者会見をおこない、C型肝炎被害者救済のための法案の骨子が発表されたことについて、次のように表明しました。

 一、本日、薬害肝炎の問題について、与党から救済法案の骨子が提示された。これについては弁護団も評価し、受け入れの態度を表明したと伝えられている。

 法案骨子の内容をみると、被害者全員の一律救済、国による被害の「発生責任」と「拡大責任」を明記し、救済対象は行政が決めるのではなく、裁判所=司法が判断するとし、さらに恒久法の制定という内容も盛り込まれており、評価できるものだと思う。

 一、ここまで政治を動かしてきたのは、原告団の方々の命がけのたたかいであり、心からねぎらいと敬意を申し上げたい。一日も早く法案が成立し、実際に救済が始まるよう力をつくしたい。

 一、わが党は、肝炎問題全体についての基本法制定にも積極的に取り組んでいきたい。



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