2007年12月22日(土)「しんぶん赤旗」

沖縄新基地の環境アセス

政府の方法書「不十分」

知事が意見書


 米海兵隊普天間基地(沖縄県宜野湾市)に代わる、米海兵隊キャンプ・シュワブ(同県名護市)沿岸部へのV字形滑走路の新基地建設に関する環境影響評価(アセスメント)で、沖縄県の仲井真弘多知事は二十一日、政府が提出した方法書は「不十分」であるとして、「再検討」を求める意見書を沖縄防衛局に提出しました。

 方法書については、県の環境影響評価審査会(津嘉山正光会長)が十七日、「再提出」を求める答申を出しています。知事意見書は、政府がこの答申を「真摯(しんし)に受け止める必要がある」と求めていますが、県は、「方法書の再提出は法解釈上、困難」(担当者)であると判断。審査会の答申から後退した、政府への強制力を持たない内容となりました。

 代替措置として、今後、新基地建設候補地の環境実地調査を行う前に、調査方法を「再検討」し、その結果を公表するよう求めています。

 具体的には、(1)新基地を使用する機種、機数や飛行ルート、運航時間などを明らかにすること(2)新基地の規模を具体的に明らかにすること(3)国の天然記念物ジュゴンについての調査を複数年実施すること―などです。

 政府は今後、シュワブ沖のサンゴ調査など、県の許可が必要となる実地調査を進める計画ですが、県の担当者は、事前に納得いく回答が得られない場合は、実地調査を許可しないなど、「厳しい対応にならざるをえない」と説明しました。

 また、仲井真知事は、新基地をシュワブ沿岸部から「可能な限り沖合に移動する必要」について言及。新基地自体は必要であるとの認識をあらためて示しました。

 知事は来年一月二十一日までに、新基地の埋め立て部分に関する意見書を提出します。


 環境影響評価(アセスメント) 大規模な開発事業を行う際、一九九七年に制定された環境影響評価法に基づいて、事業者自らが環境への影響について調査・予測・評価を実施。名護新基地建設のアセスでは、「方法書」→「住民意見の提出」→「知事意見の提出」→「現況調査」→「準備書」→「評価書」という手続きで、おおむね三年の期間が想定されています。



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