2007年12月20日(木)「しんぶん赤旗」

「大連立」の影で党首討論放棄

年内見送り 最長空白


 テレビ中継もされる与野党党首による党首討論(クエスチョンタイム)が、今臨時国会で一度も開かれないまま、年内開催が見送られることになりました。前回の党首討論から現在まで二百日以上たっており、過去最長の“空白期間”となっています。自民、民主の密室での党首会談は二度にわたって開かれたにもかかわらず、国会の場での討論が放棄される異常な事態です。

密室で党首会談

 福田康夫首相(自民党総裁)と小沢一郎民主党代表は、一方で密室での党首会談を行い、「大連立」を協議、自衛隊の海外派兵恒久化法で合意文書までつくり、両党が「同質・同類の党」であることを示しました。国民の前で堂々と論戦しないのも、このことと無縁ではありません。

 両党首が十月三十日に密室で開いた党首会談のために、翌三十一日に決まっていた党首討論が中止されたことは、自党の勝手で国会審議をないがしろにする重大な汚点を残しました。

 その後、十一月七日開催を目標にしていた党首討論も、十一月四日の小沢代表の辞任騒ぎで、またもや中止。今月十二日の開催予定も、「会期末だから」との驚くべき理由で見送りとなりました。一連の事態に対し、「共産党や社民党に党首討論の資格を譲ってはどうか」(「朝日」十二日付社説)との声も上がりました。

 そもそも、自由党党首時代に小沢氏は連立政権を組む自公と政策合意をし、「政治家主導の国会運営」を大義名分に、党首討論の実現を主導しました。

 一九九九年に成立した「国会活性化」法で衆参両院に国家基本政策委員会が設置され、同年秋から、イギリス議会を参考にしたとされる党首討論が試行的に始まり、二〇〇〇年から正式にスタート。しかし、その後の経過は、党首討論から少数会派をしめだしたこともあり、国会質疑は活発化するどころか、首相の国会出席と答弁の激減だけをもたらしました。

全野党参加求め

 日本共産党は、党首討論に参加していた時期は、日米両政府による核密約を暴露するなど、積極的な役割を果たしてきました。現在、十人未満の会派にも討論の機会を設けるよう要求。すべての野党の党首討論への参加も求めています。

 来年一月九日の党首討論開催を決めた十九日の衆参両院の国家基本政策委員会の合同幹事会の席上、自民党の衛藤征士郎座長は、世論の批判を意識して「いかなることがあっても開きたい」と述べました。しかし、この間の状況をみれば、額面通り受け取れるのか。

 いま、アフガニスタンの人々を苦しめる結果にしかならない新テロ特措法案に加え、薬害肝炎、年金記録、原油高騰など国民の暮らしと命にかかわる重大問題が山積しています。「大連立」の影でまともな国会審議がおこなわれないのであれば、政治に対する国民の怒りがさらに広がるのは必至です。(松田繁郎)


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