2007年12月9日(日)「しんぶん赤旗」

社会保障カード

年金・医療・介護 個人情報を一元管理

政府検討会で慎重論も


 政府・厚生労働省が二〇一一年度の導入を狙う「社会保障カード(仮称)」の「検討会」が、年内の基本構想とりまとめに向けた議論をすすめています。年金、医療、介護の個人情報をひとつに管理する同カード。しかし、検討会では慎重論が相次いでいます。


デメリット隠す

 七日に開かれた検討会。厚労省が、とりまとめに向けた「論点整理案」を示すと、委員から「今月中に基本構想をまとめることになっているが、検討期間が短すぎる」「(厚労省の資料は)カード導入のメリットばかりが強調されて、デメリットが隠されている印象がある」などの疑問の声が上がりました。

 また、カードに記録される健診結果など個人情報の漏えいや、民間事業者による情報の悪用にたいしての心配の意見も相次ぎました。

 九月に立ち上げられた検討会。十一月には関係する団体との意見交換がおこなわれましたが、ここでも「一枚のカードにする必要性があるのかどうか疑問だ」との慎重論が出されていました。

財界団体の要求

 厚労省の社会保障カード構想は、年金手帳、健康保険証、介護保険被保険者証の役割を一枚のカードにまとめるというもの。一人一枚発行し、年金記録や健康診断の結果が記録されます。将来は、雇用保険など他の社会保障分野も対象にするなどとしています。ただ、各制度の個人情報を統一する「社会保障番号」の導入は、今後の検討課題としています。

 もともと社会保障カード導入は、日本経団連など財界団体の長年の要求でした。国民一人ひとりの医療費などを「管理」し、「効率的な給付」にすることで、社会保障費の企業負担軽減を狙っているのです。しかし、個人情報の漏えいの危険などから具体化は足踏みしていました。

 急浮上したのは、「消えた年金」問題がきっかけです。「年金記録管理対策」の一環として、参院選の直前に、安倍晋三前首相があわてて持ち出したものでした。

 しかし、日本共産党の小池晃議員が参院厚生労働委員会(六月二十八日)で「過去の年金記録の問題の解決と一体どういう関係にあるのか」とただしたのにたいし、厚労省の薄井康紀・社会保障担当政策統括官は「過去の年金記録が直接的に解決されるものではない」と答弁。年金記録問題とは無関係であることが明確になりました。「国民の年金情報管理にたいする不安を逆手にとった、どさくさまぎれの導入」(小池氏)というものなのです。

 異論が続出しているにもかかわらず、厚労省は来年度予算案に社会保障カード関連として二億四千万円を新規要求しようとしています。

 国民の健康や年金という極めて大切な個人情報の扱いを、性急なやり方で結論を出すことは許されません。(秋野幸子)


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