2007年12月8日(土)「しんぶん赤旗」

旧植民地アルジェリア

仏大統領、謝罪なし

公式訪問 両国間の歴史に溝


 【パリ=山田芳進】フランスのサルコジ大統領は三日から五日まで、旧植民地のアルジェリアを公式訪問しました。フランスは、原子力を含むエネルギー分野を中心に総額約五十億ユーロ(約八千億円)にのぼる経済協力の強化や人材育成のパートナーシップ協定締結など「未来」志向を重視する成果を誇っています。しかし植民地支配の過去が投げかける影を一掃することはできず、両国関係の行方になお曲折がありそうです。


 サルコジ氏は五日、アルジェリアの学生を前に講演し、植民地支配について「アルジェリアにやってきた(フランス)人の多くは善意の持ち主で、働き、建設するために来たのであって、誰も奴隷にしたり搾取しようと思っていたわけではない。しかし植民地のシステムは本来不正義なものであり、奴隷化と搾取の実施以外には存在することができなかった」と発言。ほぼ百三十年におよぶフランスのアルジェリア植民地支配への明確な謝罪はありませんでした。

 これに対し、アルジェリアのエルワタン紙六日付は、「その論理から言えば、この植民地システムはフランスとは何の関係もないことになり、何か抽象的なもの、異星人が導入したものとでもいうのか」と批判しました。

 両国の過去の問題をめぐっては、サルコジ氏訪問を前にして、アルジェリアの退役軍人相が「個人的意見」とした上で、「フランスがアルジェリアで犯した罪を認めない限り、和解も完全な正常化も視野に入れることはできない」と発言し、訪問が中止になるのではとのうわさが広がりました。発言の真意を問いただしたフランス側に、ブーテフリカ大統領が「アルジェリアの立場を反映したものではない」とし、サルコジ大統領を「友人として」迎えたというエピソードも。

 エルワタン紙は、サルコジ氏の訪問と発言から引き出せる結論は「サルコジ氏が植民地時代に犯した罪について謝罪しなかったことで、両国間にある深い歴史の溝を乗り越える重要な機会を逃し、アルジェリアは裏切られ続ける」ことだと述べています。


 仏のアルジェリア植民地支配 アルジェリアは一八三四―一九六二年の間、フランスの植民地支配下に置かれました。一九五〇年代半ばからアルジェリア民族解放戦線(FNL)による武装独立闘争(解放戦争)が開始されました。アルジェリア問題はフランス国内を分裂させ、第四共和制の崩壊、第五共和制の発足(五八年)をもたらし、仏ドゴール将軍のもとで一九六二年、アルジェリアの独立を認めるエビアン協定が結ばれました。


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