2007年12月5日(水)「しんぶん赤旗」

沖縄戦の教科書記述で文科省

検定意見撤回を拒否

誤り認めよ 市民抗議


 沖縄戦「集団自決」における高校日本史の教科書検定問題で、検定意見の撤回を求めて市民や教科書執筆者らは四日、沖縄県選出国会議員五人とともに文部科学省に要請しました。そのなかで同省は「検定意見は間違っていない」として、撤回しないことを明らかにしました。


 要請団によると、対応した文科省の布村幸彦大臣官房審議官(初等中等教育局担当)は、検定意見撤回の問題について、「学説状況から考えて、いわゆる『集団自決』のすべてに軍の命令があったというふうには断定できない」「検定意見は専門的立場から検定審議会が議論して検討したものだから、検定意見を撤回することはできない」とのべたといいます。

 これに対し記者会見で、教科書執筆者の石山久男・歴史教育者協議会委員長は「六月に沖縄から要請団が来たときと全く同じことをいっている」と批判しました。

 現在、教科書会社六社が日本軍の強制を示す記述を復活させた訂正申請を文科省に提出。専門家も同省の求めに応じ意見書を出しています。

 今回、文科省は検定意見を撤回しないと明言しつつも、「訂正申請については審議中」と答弁。

 「検定意見は撤回しないが、沖縄県民の怒りもあるので記述の修正ができるかどうか、出版社の訂正申請という形で決着を付けたいというのが、いまの文科省の姿勢だと審議官の話から感じた」と「沖縄戦首都圏の会」呼びかけ人の俵義文さんは指摘。「明らかに矛盾が生じているが、この矛盾を正そうとしたら検定意見の撤回しかない。文科省は問題をうやむやにしたいのだ」と非難しました。

 会見に先立ち行われた文科省前の宣伝行動に、約百二十人(主催者発表)が参加。撤回しないとする同省に対し、「誤りを認めようとしない従来の態度に怒りが込み上げてきた」などの声が上がりました。

 要請に同行した日本共産党の赤嶺政賢衆院議員は「沖縄県民の総意を踏みにじるもの。たたかいをさらに発展させ、撤回させるまで全力でたたかう」と訴えました。

 その後開かれた院内集会で、松田寛・沖縄高教組委員長は「間違っていることをしっかり直していくことが教育者としての使命。何としても問題の責任を問わなければいけない。私たちは逃げるわけにいきません」と呼びかけました。

 院内集会には日本共産党の赤嶺政賢、石井郁子、笠井亮、穀田恵二の各衆院議員、紙智子、仁比聡平、山下芳生の各参院議員が参加。糸数慶子参院議員、社民、民主両党の議員も参加しました。



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