2007年12月4日(火)「しんぶん赤旗」

主張

予算基本方針

福祉削減の路線を改めてこそ


 経済財政諮問会議(議長・福田康夫首相)が、来年度の「予算編成の基本方針」を取りまとめました。

 「基本方針」は、社会保障の削減路線や消費税増税の方針を掲げた小泉・安倍両内閣の「骨太方針」を「堅持」すると明記しています。

根っこに「骨太方針」

 経済財政諮問会議をてこに強引に進められた社会保障の削減路線は、国民のくらしの破たんをますます深刻にしています。一方で大企業・大資産家に減税の大サービスをしながら、社会保障の支えを必要とする多くの国民を医療や介護、生活保護などの制度から排除してきました。

 世論の厳しい批判に対して、福田内閣は高齢者医療の負担増や児童扶養手当の削減などを見直す姿勢を示しています。しかし、その中身は、負担増の一時的・部分的な先送りや、いずれ“解凍”する「凍結」措置にとどまっています。

 加えて厚労省が、低所得層の消費支出が減っていることを理由に、生活保護のうち日常生活費に当たる生活扶助費を引き下げようとしています。〇六年版「骨太方針」が社会保障削減の具体策として、「生活扶助基準について、低所得世帯の消費実態等を踏まえた見直しを行う」と掲げていることを受けた方針です。

 国税庁の民間賃金の調査によると年収二百万円以下の人が一千万人を突破しています。いくら働いても生活保護の水準を下回る生活しかできない多くの若者たち、母子家庭、高齢者ら、「ワーキングプア」が深刻な社会問題になっています。「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障した憲法二五条のじゅうりんにほかなりません。貧困を生む政治を改め、人間らしい雇用と生活を取り戻すことは緊急の課題です。

 問題は、低所得世帯が生活保護を下回るような貧困に苦しめられていることにあります。それにもかかわらず厚労省は、貧困世帯に合わせて生活保護費の方を引き下げるというのです。とても血が通っているとは思えない冷酷で乱暴な政治です。

 国民の生存権を脅かすやり方の根っこにあるのが、小泉内閣以来の社会保障の削減路線です。必要な社会保障予算を〇二年度に三千億円減らしたのを皮切りに、その後も毎年二千二百億円ずつ減らしてきました。〇六年版「骨太方針」は、さらに〇七年度から五年続けて毎年、二千二百億円ずつ削る計画を盛り込んでいます。

 この路線を転換しない限り、福田首相のキャッチフレーズであり、「予算編成の基本方針」にも掲げている「安心して暮らせる社会」は、看板倒れにならざるを得ません。

あふれる無駄遣い

 社会保障の削減を続けながら、政府の審議会や自民党の研究会が、いっせいに消費税増税を打ち出していることは重大です。

 「基本方針」は、「無駄や非効率を放置したままでは国民に負担増を求めることはできない」としています。日本の社会保障給付(国内総生産比)はイギリスの四分の三、ドイツ、フランスの三分の二以下であり、社会保障は「無駄や非効率」ではなく貧弱すぎるのが実態です。

 軍需産業との癒着で大幅に水増しされた軍事費にはまったくメスを入れず、大臣らは口をぬぐったままです。無駄な道路をつくり続ける道路特定財源を温存し、大企業・大資産家への大減税を続けるなど「無駄と非効率」があふれかえっています。

 福田内閣と自民党、公明党には、「国民に負担増を求める」資格のかけらもないことは明らかです。


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