2007年11月28日(水)「しんぶん赤旗」

イラク特措法廃止法案の可決

時計の針 九条示す未来へ


 過去へ巻き戻されていた時計の針が、憲法九条が示す未来へと進められている―。十一月一日のテロ特措法の失効に続き、イラク特措法廃止法案が二十七日の参院外交防衛委員会で可決された瞬間、そう感じました。

 大義なき「ブッシュの戦争」は音を立てて崩れています。米国の同盟国は相次いでイラクから撤退し、米国内でも「イラク撤退」の声が多数になっています。オーストラリアでも総選挙で「ブッシュの戦争」を支持してきた与党が大敗し、イラク撤兵を掲げる新政権が誕生します。

 日本でも政府の派兵政策が民意によって否定され、平和的手段による紛争解決・復興支援への転換が迫られているのです。

 二十七日の質疑で政府・与党は、「国連支援」を強調してイラク派兵継続の正当性を主張しました。しかし、その実態は、破たんした米軍のイラク軍事作戦への支援そのものです。

 防衛省によると、空自は二〇〇六年九月から今年九月までの間、イラク北部アルビルに国連職員や物資を四十四回、のべ千三百人空輸していますが、同時期の空輸の総回数は二百十三回です。つまり、国連関係の空輸は約21%にすぎません。物資の輸送では、同時期の輸送総量約百六十トンに対して、国連関係はわずか二・三トンです。(グラフ)

 イラクに駐留する外国軍の93%が米軍であることから、国連以外のほとんどは「掃討」作戦などを行っている米兵輸送だと断定できます。

 政府も、「月あたりの輸送回数は十七回から二十回。うち国連関係は四―五回」(高見沢将林運用企画局長)と認めざるをえませんでした。

 一方、政府は「国連職員は民間機でのイラク国内の移動を禁止されている」(石破茂防衛相)とも述べています。それが事実であっても、空自の空輸能力がなければ国連の活動が困難になるのか、政府からの説明はありません。 

 廃止法案は二十八日の参院本会議で可決された後、衆院に送付される見通しです。衆院の三分の二を占める自民・公明両党は、「イラク戦争支持は正しかった」という立場に固執し、同法案を廃案とするかまえです。

 しかし、参院で示された結果こそが民意です。これを無視して、いたずらに数の横暴でイラク派兵を継続すべきではありません。政府・与党は衆院でイラク特措法廃止に踏み切り、軍隊によらないイラク復興支援に転換すべきです。(竹下岳)

グラフ


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