2007年11月24日(土)「しんぶん赤旗」

憲法審査会 始動狙う

自民 民主 恒久法論議で加速も


 憲法審査会の「始動」へ向け、自民党や民主党でにわかに動きが出てきました。

 五月に強行された改憲手続き法に基づき衆参両院に設置された憲法審査会は、国会が発議する改憲原案の審査権限を持つ機関。参院選での自公の大敗の後、野党の強い反対で、審査会の組織や運営のルールを定める審査会規程の議決すら行えず、活動を開始できずにきました。

申し出

 ところが二十日の参院議院運営委理事会で西岡武夫委員長は、笹川尭衆院議運委員長から「衆院で憲法審査会の運営規程の制定を検討したいので、参院でも検討をお願いしたい。衆参それぞれで規程を整備しなければ意味がない」と申し出があったことを明らかにしました。しかし、笹川氏は同日開かれた衆院議運委員会の理事会の席上、「憲法審査会規程の制定について、参院の西岡委員長に話をする」と発言したものの、各党に了承は求めていませんでした。二十一日になると西岡氏は、「どうも衆院では議論が確定されていないようだ」と述べ、改めて話すとしていったん論議を引き取りました。

 西岡氏は二十二日の議運委理事会では、民主党の衆院議運委理事から“憲法審査会規程は衆参一緒に議論した方がよいとの旨を参院側に伝えることで一致をみた”との報告を受けたと説明。審査会規程の作成へ向け、衆参合同の協議会の設置の検討を提起しました。各党持ち帰り、継続協議となっています。

 しかし、二十日以降衆院で議運委員会は開かれておらず、衆参合同で審査会規程を協議することが改めて議論された経緯はありません。

 この点に関連して、民主党国対関係者は二十日、「(自民・民主の国対会談で)与党の呼びかけに、審査会規程を決めるなら衆参そろってではないかと返答してきた。安倍首相とは改憲論議は絶対しないという立場だったが、福田内閣になり状況は動いてきた。しかし、まだ早いのではないか」などとのべていました。

背景に

 改憲派議員でつくる「新憲法制定議員同盟」(会長・中曽根康弘元首相)は八日、都内で緊急総会を開き、審査会の活動開始を求める決議をあげました。議員同盟では、決議への賛同を募っており、既に二百人近い国会議員の賛同を得たとして、十二月早々には衆参議長に対し憲法審査会の始動を求める申し入れを計画しています。

 事務局によれば、同議員同盟には、自民党、国民新党のほか、民主党、公明党の議員も参加しているといいます。

 民主党憲法調査会の幹部の一人は、「解散・総選挙前に、どこまで議論を進めるかは問題だが、審査会規程の議決についてはそろそろ考えないといけない」と語ります。同氏は、自衛隊の海外派兵をいつでも可能にする恒久法や、民主党の主張する国連決議のもとでの自衛隊の海外派兵について「憲法上の問題は、憲法審査会で議論すべき問題だ。参院では民主党が主導権を握っているのだから、そこの議論はしてもいい」とのべます。

 憲法審査会は、集団的自衛権の行使をめぐる憲法解釈の変更の問題など、解釈・立法改憲の舞台としても機能する仕組みです。テロ新法案への対案づくりや、恒久法論議を通じて改憲の動きを促進する流れが新たに強まる恐れがあります。(中祖寅一)



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