2007年11月20日(火)「しんぶん赤旗」

宇宙軍事化の第一歩

基本法案の再検討を要求

「七人委」アピール


 「世界平和アピール七人委員会」は十九日、国会で継続審議中の宇宙基本法案が「宇宙を軍事の場とする道をひらく第一歩となる内容を含んでいる」として、同法案の再検討を求めるアピールを発表しました。同委員会のメンバーが国会を訪れ、各党党首と衆参両院の内閣委員会関係者あてにアピールを届けるとともに、記者会見しました。

 アピールは、同法案が、自衛隊独自の早期警戒衛星や軍事用通信・電波傍受衛星などの保有・運用を可能とし、宇宙開発の軍事化の危険性があることを指摘しています。そのうえで、「いったんこの動きを認めるなら、軍事機密を梃子(てこ)として軍産複合体の成立を促し、国家の動向を誤らせかねない」と警告しています。

 また、宇宙開発の公開原則を捨て去り、学術の進歩を軽視していることなどの問題点についても批判。法案が「国家の利益のために宇宙を利用する意図があらわなものであり、日本の品位をおとしめ、諸外国からさげすみをもってみられることは必定」としています。

 これまで日本の宇宙開発は、一九六九年の国会決議にもとづいて「平和目的」に限定されてきました。アピールは「日本が『非軍事』の旗を掲げて宇宙の平和利用に徹し、人々に夢とロマンを与え続けることこそが真の平和国家としてとるべき道である」と述べて、平和目的に限定した宇宙基本法の制定を目指すことを求めています。

 記者会見で、宇宙物理学者の池内了・総合研究大学院大学教授は「これまで日本は、すばらしい独自技術を開発してきた。軍事の秘密研究となれば、公開・議論されない。技術にとってマイナスだ」と述べました。


 世界平和アピール七人委員会 ノーベル賞受賞者の湯川秀樹博士らが参加して一九五五年に結成した、知識人による意見表明の会。日本国憲法の平和主義にもとづく訴えや、核兵器廃絶の呼びかけなどをおこなってきました。現在の委員は、武者小路公秀(国際政治学、大阪経済法科大学教授)、土山秀夫(医学、元長崎大学学長)、大石芳野(フォトジャーナリスト)、井上ひさし(日本ペンクラブ前会長)、池田香代子(ドイツ文学翻訳家)、小沼通二(物理学、慶應義塾大学名誉教授)、池内了(宇宙物理学、総合研究大学院大学教授)の七氏。


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