2007年11月11日(日)「しんぶん赤旗」

今週の国会

テロ新法案で攻防

あす衆院委可決狙う与党


 当初、臨時国会は十日で閉会する予定でしたが、自民、公明の与党は、九日の衆院本会議で、会期の三十五日間延長を強行しました。その最大の狙いは、海上自衛隊をインド洋に再派兵する新テロ特措法案を今国会中に成立させることです。

 九日の衆院テロ特別委員会の理事会では、与党側の意向を受けた深谷隆司委員長(自民党)が、新テロ特措法案の十二日採決を裁定。政府・与党は、委員会採決後、翌十三日の本会議で可決・衆院通過させる構えです。

 しかし、この間の審議の中で、同法案が報復戦争への軍事支援のためのもので、テロ根絶に逆行することが、ますます浮き彫りになっています。

 政府は、同法案による支援対象について、テロリストなどの拡散を海上で防ぐ「海上阻止活動」だけだと繰り返し、“戦争支援”という印象を薄めようと躍起でした。

 ところが、日本共産党国会議員団の追及のなかで、給油相手が「海上阻止活動」の任務さえしていれば、同時にアフガニスタン空爆などを遂行していても「問題ない」(町村信孝官房長官)と答弁。明白な戦争支援法であることを認めざるをえなくなっています。

 こうした軍事作戦は、政府も「重要だ」(福田康夫首相)としている、タリバンを含む武装勢力との政治的交渉によって和平を追求する「平和と和解のプロセス」を台無しにするものです。高村正彦外相も、アフガニスタンで自爆攻撃が急増している要因に空爆などの軍事作戦があることを「一面の真理がある」と認めています。

 これだけ法案の矛盾が明らかになっても、政府は、軍事解決に固執する立場です。テロ根絶に逆行してでも、米国の要求に応えようとする福田・自公政権の異常な姿があらわれています。

 一方、参院外交防衛委員会では十五日に、軍需専門商社「山田洋行」元専務からゴルフなどの接待を繰り返し受けていた守屋武昌前防衛事務次官の証人喚問と、同社の米津佳彦社長の参考人招致を行います。

 新法案で米軍支援を担うことになる防衛省が、こうした防衛利権の疑惑にまみれていることのほか、給油した油がイラク作戦に転用されていたことや、給油量を隠ぺいしていたことが大問題になっています。証人喚問では、徹底的な究明が求められます。

 新テロ特措法案が衆院で可決され、参院に送付された場合も、参院で議運委員長と外交防衛委員長を握る民主党は、同党がすでに提出しているイラク特措法廃止法案の審議を優先させる方針を表明しており、新テロ特措法案がいつ審議入りするかは予断を許さぬ状況となっています。

 生活関連の法案では、衆院をすでに通過している「中国残留孤児」支援法改正案(全会一致で可決)や、最低賃金改定法案と労働契約法案のいわゆる労働二法案(日本共産党は反対)の参院審議がどうなるかが焦点となっています。

 また、民主党提出の年金保険料流用禁止法案と農業者戸別所得補償法案が先週までに参院で可決され、衆院に送付されていますが、与党が多数を握る衆院審議の行方は不透明です。年金保険料流用法案については、与党は衆院に対案として社会保険庁改革関連法案を提出しています。


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