2007年10月29日(月)「しんぶん赤旗」

自立支援法 抜本見直しへ

共産党、「応益負担」廃止に行動

民主党は改正案提出

首相「見直し議論行う」


 障害者・家族の福祉サービス利用などに原則一割の「応益負担」を強いる障害者自立支援法の見直しの動きが進んでいます。参院選での与党の大敗という新たな情勢のもとで、日本共産党は障害者・家族の願いの実現に向けて行動を強めています。

厚労相に申入れ

 臨時国会が始まる直前の九月四日、日本共産党国会議員団の障害者の全面参加と平等推進委員会(責任者・小池晃政策委員長)のメンバーは、障害者団体三十一団体と懇談しました。障害者らは、「手話通訳にも一割負担の利用料が取られるのは権利の侵害」などと現状を切々と語り、「応益負担」の廃止を訴えました。

 二日後の六日、小池氏、高橋千鶴子衆院議員ら八人の党国会議員は、舛添要一厚生労働相に対し、(1)「応益負担」の廃止(2)施設への報酬支払いを月払いに戻す―など六項目にわたる自立支援法の抜本的見直しを求める申し入れを行いました。十五分の申し入れの中で、障害者の声をぶつける国会議員団。舛添厚労相は「十分検討していきたい。お互いに建設的意見を出し合って、何とかいい方向で折り合いをつけたい」と応じました。

 九月末には、昨年に続いて行った二回目の実態調査結果を発表。「応益負担」廃止を求める声が九割にのぼったことや、月一万円以上負担が増えた人が約六割になることを明らかにしました。

 この調査を受け、市田忠義書記局長は、参院本会議の代表質問(五日)で、赤字が出ることを理由に施設入所を断られた母親の声を紹介。「応益負担制度の廃止は、一刻の猶予もならない」と福田康夫首相に迫りました。福田首相は「抜本的な見直しに向け制度全体にわたる議論を行う」と約束しました。

 日本共産党は、法案審議の段階から反対を貫いてきました。参院選では、「緊急福祉1兆円プラン」の一つに、「障害者自立支援法による『応益負担』を撤回」を掲げ、自立支援法の抜本的見直しのために全力を挙げています。

世論に押され

 自民・公明両党は、参院選の結果や世論と運動に押され、与党政権合意で自立支援法の「抜本的見直し」を掲げざるをえなくなりました。

 民主党は、九月二十八日に、(1)福祉サービスにかかる原則一割の「応益負担」の中止(2)事業者などに対し国・地方公共団体が財政上・金融上の支援を行うこと―を柱にした改正案を参院に提出しました。

 しかし、民主党案が「応益負担」中止の対象にしているのは、生活介護や就労支援などの福祉サービスだけです。同じく一割負担を課せられている車いすなどの補装具支給や、自立支援医療は除外しています。

 民主党は、「(障害者に必要な所得保障の)実現までは、定率一割負担は廃止する」としています。所得保障が実現するまでの間の期限付きの「凍結」案です。

 根本問題である「応益負担」の廃止と自立支援法の抜本的見直しの世論と運動を広げることが必要です。(小林拓也)



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