2007年10月28日(日)「しんぶん赤旗」

主張

沖縄新基地計画

機能強化を隠すなど許せない


 米軍が沖縄県名護市のキャンプ・シュワブに建設を予定している新基地をめぐり、防衛省はこのほど環境影響評価の方法についての住民の意見をまとめ、沖縄県などに送付しました。政府は一月以来開けなかった新基地についての政府・地元自治体の協議会も来月には開催し、建設に向けた動きを加速しようとしています。

 七割もの沖縄県民が新基地建設に反対しているというのに、二〇一四年の新基地建設に向けての作業をしゃにむに進める政府・防衛省の強権姿勢を許すわけにはいきません。

事実を知らせない

 新基地建設をめぐる問題でとくに重大なのは、安倍前政権も福田政権も、新基地が強大な基地機能を備えた最新鋭基地になる事実を県民に隠したまま、建設に向けた作業を進めようとしていることです。

 防衛省は、八月に沖縄県に新基地建設計画についての環境影響評価の方法書を一方的に送付し、住民に公告・縦覧しました。方法書は住民が新基地の軍事的機能について判断するうえで不可欠な事実を、まったくといっていいほど示していません。ほんとうのことを知らせると新基地への反対が大きくなることを恐れてのことだとすれば言語道断です。

 墜落事故が多い垂直離着陸可能の大型輸送機オスプレイの配備が確実になっているのに、方法書はそれさえ明記していません。米軍機が住宅地域をどのように飛ぶのかは住民にとってもっとも深刻な問題ですが、その飛行経路も示していません。方法書が「不備」だといって批判が沸騰したのは当然です。

 しかも、さらに重大な事実が、新基地予定水域に生息するジュゴンの保護を米政府に求めて沖縄の関係者がおこした訴訟のなかで、米政府が提出した公文書によってあきらかになりました。

 それによると、昨年五月米軍再編最終合意直前の四月十九日に、二百十四メートルの岸壁の建設や戦闘機装弾場の設置についての詰めの協議が日米間でおこなわれたというのです。施設建設を前提にした協議であったことはいうまでもありません。

 二百十四メートルの岸壁は、海兵隊を戦場に運ぶ強襲揚陸艦が使用できる規模の施設です。戦闘機装弾場は現在の普天間基地にもない新たな機能となります。日本政府は、米軍再編合意文書でこうしたことを書き込まなかったばかりか、環境影響評価方法書でもまったくふれないのは、県民だましの背信行為であって、とうてい許されることではありません。

 米側が同文書のなかで、陸上部分でも「騒音コンター(等高線)を示す必要がある」とのべたことは重大です。住宅地域上空を飛行経路にしていることを前提に、米軍の側から陸上部分も騒音が住民にあたえる影響を評価せよといっているのです。住宅上空の飛行は「緊急時」だけのようにいう日本政府の説明がごまかしなのは米公文書で明白です。

地方重視というなら

 新基地が先制攻撃戦争のための出撃基地の機能をもつことはいよいよあきらかです。政府は新基地建設計画そのものを撤回すべきです。

 福田首相は参議院選挙で与党が惨敗した原因が「地方の目線にたたなかったから」だといって、「地方重視」を口にしています。米軍再編の押し付けも地方の怒りをまねく原因の一つです。地方重視というなら、沖縄だけなく、山口県岩国市や神奈川県座間市でも、米軍再編の押し付けをただちにやめるべきです。



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