2007年10月22日(月)「しんぶん赤旗」
主張
被災者支援法改正
住宅本体への支援実現は急務
地震や豪雨災害などで大きな被害を受けた人を救済するための被災者生活再建支援法の改正をめぐり、重要な局面を迎えています。
今国会で、日本共産党が住宅本体の建築や購入への支援を盛り込むよう見直しを申し入れたのに続き、民主党と自民・公明がそれぞれ改正案を提出、最大の課題である「被災住宅本体への直接支援」で各党の足並みがそろったからです。被災者が「これで救われた」といえる実効ある制度を実現するため、党派を超えた協議をすすめ、抜本的な改正を実現させるべきです。
各党の足並みそろう
現行の被災者生活再建支援法は、阪神・淡路大震災の被災者に対する公的支援実現を求める世論と運動のなかで一九九八年に成立しました。
その後見直しもありましたが、肝心の住宅本体の建築や購入には使えないなど使い勝手が悪く、被災者など関係者からは「これでは『支援しない法』だ」という声があがるほどでした。実際、法制定後九年間の支給実績は、対象となる三十一件の災害でわずか一万三千世帯、百三十三億円にとどまっています。
被災から二十三日で丸三年を迎える中越地震や、今年になってからの能登半島地震、中越沖地震などが浮き彫りにしたように、被災者にとって最大の問題のひとつは住宅の再建です。大規模災害の現場を歩けばすぐ分かるように、命からがら避難して一息ついた被災者に真っ先にのしかかる不安は、失われた住まいをどうするかであり、高齢だったり、二重のローンは負担しきれないなどの理由から、再建をあきらめ、住みなれた地域を出ていかざるをえない人も少なくありません。
日本共産党は、阪神淡路大震災の直後から、被災者の生活再建への国の責任を回避することなく、国による個人補償、住宅への補償をおこなうよう提言し、その実現に努力してきました。政府は「日本は私有財産制の国だから、個人の住宅に支援はできない」という化石のような論理で、かたくなに住宅本体への支援を拒んできたのです。
こうしたなか、二〇〇〇年の鳥取県西部地震では、被災者の声が自治体を動かし、県と地元自治体が独自の住宅再建支援をおこない、地域社会を守る大きな成果をあげました。自治体にできて国にできないはずはありません。国だけが拒み続ける理由はなくなっています。
日本共産党は、店舗を兼ねた住宅なども含め、住宅の再建を直接支援すること、能登半島地震や中越沖地震の被災者にもさかのぼって支援がおこなえるようにすることなどを提案しています。自公や民主の案とは、支給対象世帯や支給限度額などに違いがありますが、住宅本体への直接支援が必要という基本のところで一致している以上、各党で法改正を協議する条件は整っています。
現に苦しむ被災者のため
日本共産党の志位和夫委員長は十八日の記者会見で「被災者にとってなによりも大切なことは、どの政党の提案であれ、現に苦しんでいる被災者を支援していくために現行法を一歩でも二歩でもよいものにしていくことだ」とのべ、衆参で与野党の力が逆転している状況も踏まえ、与野党間の協議を呼びかけました。
日本列島が地震の活動期を迎えている今、いつどこで地震が起き、被害に見舞われるか分かりません。被災者の強い願いである住宅本体への支援を今国会で実現するため、党派を超えて力を尽くすべきです。