2007年10月17日(水)「しんぶん赤旗」

深刻 クレジット被害

販売業者とクレジット会社に共同の責任が

消費者守る 法の改正急いで


 ペットショップの子犬、美容医療、携帯電話―。今、「こんなものまで」と思われる商品やサービスがクレジット契約によって提供されています。なにかと便利と思いがちですが、深刻な消費者被害が社会問題になっています。


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(写真)日弁連が発行するパンフレット

過剰な与信が…

 消費者被害の一つが、過剰な与信(金銭の貸し付けや債務保証を行うこと)による被害です。

 2005年に発覚した、埼玉県富士見市でのリフォーム詐欺事件。認知症の姉妹に、必要もないリフォームの工事を次々とクレジット契約させ、総額は5000万円になりました。年金収入しかないため支払えず、クレジット会社から自宅を競売にかけられて発覚しました。06年10月には、呉服、ハンドバッグをクレジット契約した女性が総額1400万円の債務を苦にして自殺してしまう、という痛ましい事件も起こっています。

 呉服、貴金属など現金だと高いと思うものでも、「分割払いにすれば月々2〜3万円です」と言葉巧みに誘われると、買えると思って契約してしまう。しかし、いったん支払いができなくなると多額のクレジット債務が残ってしまい、サラ金に手を出したり、多重債務に陥ってしまいます。

悪質商法と結び

 さらに、キャッチセールスやデート商法など悪質・違法な商法においても、クレジット契約が行われています。

 若い女性従業員が、販売目的を隠して男性に接近し、あたかも個人的に親密な関係を持ちたいかのように振る舞いながら、「私を助けると思って、この英会話の機器を買ってほしい」「一緒に勉強しましょう」と勧誘し、高額のクレジット契約を結ばせてしまう。これは、悪質商法の典型の一つ「恋人商法」です。また、中高年の女性を販売員のパートとして募集し、「販売をするためには着物を買わなければならない」といってクレジット契約させる違法な商法も、大問題となっています。

 消費者相談の現場では、「悪質商法がなくならないのは、クレジット契約があるから」といわれています。国民生活センターによると、販売での苦情の7割が、商品・サービスを購入するたびにクレジットの契約書を作成する「個別割賦販売」によるものです。

電話相談活動も

 こうした被害は販売業者が消費者の支払い能力を考慮せずに販売を行い、クレジット会社も消費者の支払い能力をチェックしないまま契約を認めていることから発生しています。販売業者とともにクレジット会社の責任が問われています。

 現在、クレジット契約は、割賦販売法の規制を受けています。しかし、過剰な与信についていえば努力義務規定にすぎません。また、販売業者の方法に問題があっても、現行法ではクレジット会社は消費者から受け取った金額(既払い金)を返還すべきとは定めていません。そのためクレジット会社は、違法な販売だとわかっていても、加盟店である販売業者取引を打ち切ることをせず、十分な調査もしていないのが実態です。

 こうしたクレジット被害から消費者を守ろうと、6月、消費者団体や弁護士の有志などによって「消費者のための割賦販売法改正実現全国会議」が結成されました。割賦販売法の改正に向けた署名を展開(別項)。シンポジウム、宣伝、電話相談活動など旺盛な活動を行っています。

 (日本共産党国民運動委員会 堤 文俊)


 *18日に改正実現へ集会

 「全国会議」は、「消費者のための割賦販売法改正実現に向けた大集会」(18日、午後6時半〜8時半、東京・社会文化会館三宅坂ホール)を開催します。

 「全国会議」の参加団体の「日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会」は、11月10日、11日に「クレジットなんでも一一〇番」(東京=03・3724・1100、大阪=06・4790・8110)を行います。


割賦販売法改正へ署名訴え

 クレジット被害をなくすための法改正を求める署名では、「顧客の支払能力を超えるクレジット契約(過剰与信)ができないように、クレジット会社に対して実効ある制限」「クレジット会社には、悪質商法にクレジットが使われないようにする義務と、販売業者と同じ責任を持たせる」「クレジット契約の規制の対象に1回払いを含め、商品等の限定は止める」「契約書型のクレジット業者にも登録制などの規制」を求めています。


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