2007年10月14日(日)「しんぶん赤旗」

主張

原子力空母母港化

核事故の脅威と共存できない


 来年八月に予定されている米原子力空母の横須賀母港化反対の運動が広がっています。八日に横浜市内で開かれた「ストップ!原子力空母 首都圏シンポジウム」にも首都圏を中心に千二百人が集まりました。

 日本が米空母の母港化を認めていること自体世界の異常です。この異常な事態をあらためるどころか、アメリカいいなりに原子力空母の母港化を受け入れるなど言語道断です。

 横須賀四十二万市民をはじめ首都圏三千万人にたいして核事故の脅威と共生することを押し付ける権利は政府にはありません。

放射能測定も制約

 米軍は、ニミッツ級の原子力空母「ジョージ・ワシントン」(九七、〇〇〇トン)を来年八月十九日に神奈川県横須賀基地に配備することを決めています。日本政府も同空母受け入れのために、海洋汚染もおかまいなしに横須賀基地の十二号バースのしゅんせつ工事を進めています。

 原子力空母の母港になるということは、横須賀基地がアメリカの先制攻撃戦争のための本拠地になることを意味します。一年の半分を横須賀に停泊するため核事故にさらされる危険もそれだけ大きくなります。

 憲法九条を守り、唯一の原爆被爆国民として核兵器廃絶を願う日本国民が原子力空母の母港化に反対するのは当然です。

 とりわけ核事故は重大です。ニミッツ級の原子力空母は二基の原子炉をもち、その熱出力は百二十万キロワットといわれます。標準的な原発の熱出力は三百万キロワットですから、相当な規模です。核事故をおこせば被害が甚大となるのは必至です。新潟県中越沖地震での原発のように、商業用ですら安全性は保障されていないのが現実です。ましてや原発よりも危険だといわれている原子力艦船の核事故の危険性はなおさらです。

 米海軍の原子力空母は、「ジョージ・ワシントン」と同型の「ニミッツ」が一次冷却水漏れ事故、「ステニス」もサンディエゴ港内で座礁し冷却水取水口が目詰まりして原子炉を緊急停止するという重大事故をおこしています。核事故がないというアメリカ政府の説明は事実に反しています。原子力艦船の「安全神話」は通用しません。

 米軍は来月、原子力空母からごく微量の放射能を含む冷却水が漏れたという想定で日米防災訓練をおこなうことに同意しました。そうでもしないと母港化は不可能と考えたのでしょう。しかし、昨年の原潜「ホノルル」の放射能漏れ事故について放射性物質漏れは「いっさい生じなかった」と言い張るアメリカのことです。批判を和らげるだけがねらいの防災訓練参加でごまかされるわけにはいきません。

 当初「両三年」のはずの米空母の横須賀母港化は三十年以上も続きました。原子力空母の母港化は期限がついていません。原子力空母の母港化を認めることは恒久化の容認につながります。反対するのはあたりまえです。

被爆国が選択する道

 日本国民は世界のなかでただ一つ、原爆のおそろしさを知り抜いている国民です。アメリカの二度にわたる原爆投下は、核爆発で多くの命を奪うだけでなく、体内に入り込んだ放射線ががんなどを引き起こし、多くの人に終生にわたる苦しみを与えています。だからこそ核事故のおそれがある原子力艦船は受け入れることができません。

 日本の平和と国民の安全をおびやかす原子力艦船はすべて拒否する運動がいよいよ重要です。


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