2007年10月9日(火)「しんぶん赤旗」

テロ封じ込め 軍事より政治

米国・同盟国は政策転換を

英有力シンクタンク提言


 【ロンドン=岡崎衆史】英国の有力シンクタンク、オックスフォード・リサーチ・グループは八日、報告書を出し、ブッシュ米政権が「対テロ戦争」名で進めたアフガニスタンとイラクでの戦争はテロを拡大していると警告しました。テロ封じ込めのためには、軍事によらずに政治的手段が必要として、アフガンでの軍事行動の縮小とイラクからの完全撤退を求めました。

 「持続的安全―対テロ戦争の代案」と題した報告書は、アフガン情勢について、タリバン政権を米国が武力で打倒したことが治安の空白をつくりだし、「(テロ組織)アルカイダ運動にとって直接利益となった」とし、戦争がテロ勢力の活動の機会を増やしたと指摘しました。また、タリバン勢力が再び力を盛り返していること、アフガンが世界最大のヘロイン供給国となっていることに懸念を示しました。

 報告書は、イラク情勢についても、武装勢力の軍事訓練の場を提供し、これが将来のアルカイダ支持者に寄与しているとし、イラク占領は、悲痛な誤りだとしました。

 さらに、テロ容疑者の超法規的な拘束や拷問などについても、過激主義グループやテロ組織の「恒常的な宣伝のソース」となっていると批判しました。

 報告書はその上で、状況を改善するため、アフガンでの民間支援の増大と空爆をはじめとする軍事行動の縮小を勧告。イラクについては、外国軍の完全撤退を求めるとともに、イランやシリアを含めた中東諸国とともに、外交解決のための努力を抜本的に強化するよう促しました。

 報告書発表にあたり、執筆したブラッドフォード大学のポール・ロジャーズ教授は、「西側諸国は過去六年間の危険な誤りに向き合わなければならない」と述べ、アフガン、イラクで武力行動を続ける米国とその同盟国に政策転換を求めました。



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