2007年10月6日(土)「しんぶん赤旗」

主張

代表質問論戦

「貧困と格差」打開の道筋は


 福田康夫新首相の所信表明演説にたいする各党の代表質問が衆参両院でおこなわれ、日本共産党からは衆院で志位和夫委員長が、参院では市田忠義書記局長が質問しました。

 福田首相は、「国民の不信の声を真摯(しんし)に受けとめ、国民の不安にきめ細かく対応していく」などとのべ、「希望と安心の国づくり」を目指すと主張しています。首相が参院選で自公を惨敗に追い込んだ国民世論を意識しているのは明らかですが、「希望と安心」を実現する肝心の中身は示されていません。志位委員長や市田書記局長の質問は、貧困と格差を解消するために、具体策の実行を迫ったものです。

不安にこたえるのなら

 志位委員長が、「若者に希望を」という福田首相の言葉を取り上げてまず求めたのは、非正規雇用の規制です。「構造改革」によって大企業は空前の利益を上げているのに、サラリーマンの平均給与は減り続け、「ワーキングプア」が広がり続けています。その背景が労働法制の規制緩和による非正規雇用の拡大です。労働法制の規制緩和路線を見直し非正規雇用の規制に踏み出すことは、貧困と格差の解消にとって不可欠です。

 さらに志位委員長は、首相が「お年寄りが安心できる国」というのなら、医療や生活保護から国民が排除されている実態を根本から改めるべきだと追及。社会保障予算の自然増を認めず年々減らす削減路線からの転換を求めました。これを転換しなければ、首相が掲げている高齢者医療費負担増の「凍結」も、障害者自立支援法「見直し」も、一時しのぎにしかならないのは明らかです。

 この問題では市田書記局長も、障害者自立支援法の抜本的な見直しや「ネットカフェ」で寝泊まりする若者への家賃補助をあげ、首相が「ぬくもりのある政治」を目指すというなら、暮らしを支え福祉を充実させるために、税・財政のゆがみをただす政治に転換すべきだと迫りました。

 首相は志位委員長らが示した具体策への答弁はあいまいにかわし、「構造改革」の方向は変えず、格差の問題には「一つ一つ処方せんを講じていく」と答えただけです。具体策なしでは「希望と安心」を実現する道筋や手立てはみえてきません。「構造改革」路線を続けながら、貧困や格差をなくすことはできません。

 志位委員長が、財源対策の面で、貧困と格差に追い打ちをかける消費税増税に走るのではなく大企業・大資産家へのゆきすぎた減税と膨大な軍事費という二つの「聖域」にメスを入れるべきだと提案したのにも、首相からは消費税の増税をやめるとも、軍事費を削減するとも答弁がありませんでした。首相が従来の路線の枠内にとどまっていることは明らかです。これでは「希望と安心」の国を実現する見通しは出てきません。「希望と安心」を本気で実現するというなら、首相がこれまでの路線から踏み出すかどうかが問われます。

政治の抜本的転換こそ

 福田首相は、アフガニスタンでのアメリカの「報復戦争」についてただされたのにも、アメリカが求める戦争支援を続けると、従来の路線にとどまる姿勢を鮮明にしました。

 志位委員長は、大企業中心主義、アメリカいいなり、過去の侵略戦争の無反省という三つの異常をおおもとからただす改革こそ国民の立場に立った新しい政治の道であることを提起しました。福田首相に国民の切実な願いの実現を迫るとともに、自民党政治の根本からの転換がいよいよ避けられない課題になっています。



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