2007年10月5日(金)「しんぶん赤旗」

派遣法の抜本改正を

4野党・労組がシンポジウム


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(写真)シンポジウムでパネリストとして発言する小池晃政策委員長(正面中央)=4日、国会内

 日本共産党、民主党、社民党、国民新党の代表らと、全労連や連合などに加盟する労働組合が一堂に会して、労働者派遣法の改正をめざすシンポジウムが四日、参院議員会館内で開かれました。

 労組や派遣問題に取り組む団体でつくる実行委員会の主催。参院選後の国会状況を生かして、派遣法の抜本改正を実現しようと開かれたもので、百六十人が参加。マスコミ各社が取材し、満杯のため廊下で聞く人もいるなど注目を集めました。

 派遣法は一九八五年制定。九九年に原則自由化、二〇〇三年には製造業にも解禁され、偽装請負やワーキングプアを生んでおり見直しが焦点となっています。厚労省の審議会が年内に報告をまとめ、来年の通常国会に法案提出の見込みです。

 シンポではパネリストを務めた各党議員から、規制緩和で野放し状態になっている労働者派遣法を、労働者の権利を守るように改正すべきだとの発言が相次ぎました。

 日本共産党の小池晃参院議員は「人をモノのように扱う働かせ方は根絶しなければならない」とのべ、登録型派遣の禁止などを主張。「国会の力関係が変わった条件も生かして、要求で一致する労働組合、政党と力をあわせて抜本改正を実現したい」とのべました。

 他党の議員も「派遣法を変えて現実にあわせよという御手洗日本経団連会長の発言はとんでもない」(民主党・山根隆治参院議員)「専門業務に限定し、一般業務は臨時的なものにすべき。法改正に力をあわせたい」(社民党・近藤正道参院議員)「専門業務に限った制定当時に戻すべきだ」(国民新党・亀井亜紀子参院議員)とのべました。

 連合の長谷川裕子総合労働局長は、八五年の制定時に戻し、登録型派遣を禁止するなど見直し案を報告。派遣労働ネットワークからも、八五年時点に戻して、均等待遇など労働者保護を盛り込む見直し案が紹介されました。全労働の森崎巌書記長は、抜本改正の実現に力を尽くしたいとのべるとともに、法律を守らせる労働行政の人員体制が必要だとのべました。


格差是正・派遣法改正めざすシンポ

共同して実現へ尽力

小池議員発言

 「格差是正と労働者派遣法改正をめざすシンポジウム」(四日、参院議員会館)で日本共産党の小池晃参院議員は、共産党が貧困と格差を広げる労働法制の改悪に反対してきたことを紹介し、共同して労働者派遣法改正を実現するために力を尽くすとのべました。

 小池議員は、「貧困と格差の最大の根源は労働問題。人をモノの部品のように扱う働かせ方を根絶しなければならない」と強調。政府が一九九〇年代以降財界の要請に応えて労働法制の改悪、規制緩和を進めた結果、派遣労働者が激増したことをあげ、「貧困と格差の最大の要因になっている」と批判しました。

 日本共産党がこうした規制緩和に反対し、国会で偽装請負などの問題で企業の実名をあげて追及し、労働者のたたかいと結んで雇用と生活を守るたたかいをすすめてきたことを紹介しました。

 みずから偽装請負をしながら、法律が悪いと開き直っている日本経団連の御手洗冨士夫会長を国会に招致してただしたいとのべました。

 派遣法の抜本改正について、労働法制の抜本改正提案「いまこそ人間らしく働けるルールを」などを紹介しながら、一年以上働く労働者を派遣先に直接雇用させることや、登録型派遣は禁止し、合理的な理由なしに短期間に反復する形の雇用契約をやめさせるべきだとのべました。

 日本経団連が、派遣期間の上限や対象業務の規定の撤廃などいっそうの改悪を要求していることを批判。「(労組などから出されている派遣法見直し案は)共産党の主張とほとんど一致する。派遣法を抜本改正するために全力を尽くしたい」とのべました。


労働者守るルールを

発言次つぎ 改悪以前に戻せ

 労働者派遣法の抜本改正をもとめて四日、参院議員会館で開かれたシンポジウム。日本共産党はじめ野党各党の議員や、全労連、連合などに加盟する労働組合などから抜本改正を求める発言が相次ぎました。

 各党の参院議員から派遣法の改正を求める発言が相次ぎました。

 日本共産党の小池晃参院議員は「登録型派遣は禁止するなど、派遣業法でなく、労働者保護法に抜本改正しなければならない」とのべました。

 民主党の山根隆治議員は「党内の労働法制問題のチームで派遣法改正について検討している」と発言。社民党の近藤正道議員は「(派遣法が原則自由化された)一九九九年以前に戻り、派遣は専門的業務に限るべきだ」とのべ、国民新党の亀井亜紀子議員は「派遣法を九九年以前に戻すことは妥当だ」とのべました。

 派遣労働ネットワーク理事長の中野麻美弁護士は、「各党が派遣法を九九年以前に戻せという点で一致できると思う。さらに、登録型派遣の禁止や均等待遇、派遣先企業の雇用責任の強化など新しいルールが必要だ」とのべました。

 参加者から、労働現場の実態やたたかいについて発言が相次ぎました。

 人材派遣会社の正規社員の女性は、「まるで穴埋めゲームのように派遣社員に仕事を割り振っている。港湾作業で一トンの荷物が落ちて足がつぶれた人もいた。胸が痛む。昨年、派遣社員と組合をつくり、天引きされていたデータ装備費を返還させたり、派遣社員も有給休暇をとれるようにさせた」と話しました。

 製造業で働く派遣労働者の男性は、「派遣先ではプライバシーのない寮で暮らし、契約が切れたら追い出される。まるで現代の奴隷だ」と告発。

 旅行会社の添乗員として働く派遣労働者の女性は、「何時間働いても日当の七千円だけで時間外手当もない。労働基準監督署に実態を申告し、残業代を支払うよう是正勧告を出させることができた」と報告しました。

 連合の見直し案を報告した長谷川裕子総合労働局長は、「労働政策審議会で派遣法の改正を主張して実現をめざす」と発言。全国ユニオンの鴨桃代会長は「各地でユニオンを結成したり、裁判でたたかうなど逆襲が始まっている。それを派遣法の改正の力につなげていこう」とのべました。



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