2007年10月2日(火)「しんぶん赤旗」

生活保護

「北九方式」は問題多い

検証委が中間報告“孤独死招いた”


 北九州市の生活保護行政検証委員会(稲垣忠委員長)は一日、二〇〇五年から〇七年にかけて生活保護申請の拒否、あるいは廃止されて餓死・孤独死した男性三人の事件を検証し、提言を盛り込んだ中間報告を北橋健治市長に答申しました。

 中間報告は、同市の生活保護行政について「対応に不適切な点があることが次々と明るみにでた。要は生活保護法の精神や規定を尊重し、社会常識をもって対処する『当たり前の行政』の必要性が浮かびあがってきた」と指摘。数値目標をもって生活保護の開始や廃止をおこなってきた「北九州方式」の問題点を明らかにしています。

 中間報告では、二度にわたる生活保護申請を扶養義務が先だとして拒否され、〇六年五月に遺体が発見された門司区の男性(56)の事件について、「申請書を交付すべき」で、申請を受け付けず排除する「『水際作戦』と呼ばれても仕方がない」と判断しています。

 要介護認定を受けていた一人暮らしの男性(68)が「土下座もして」生活保護を求めたのに、市が保護を認めず〇五年一月、遺体が発見された八幡東区の事件についても、「申請の意思表示があれば申請を指導すべきだった」と指摘しています。

 辞退届で生活保護を打ち切られ今年七月に痛ましい姿で発見された小倉北区の男性(52)の事件では、男性を「健康と即断し、自立申し出を受け入れた対応は過ちだったというべき。辞退届の受理にあたって、就職先や勤務時間、収入などについて見通しさえ尋ねていないことは極めて不適切」と断定しています。

 生活保護行政全体についても、かつて「不正」防止にとりくんできた経緯をのべながら、数値目標が実態としてあり「職員をしばっている」と提起。「生活保護からしめ出された人たちが相次いで孤独死という結果に追い込まれた」として、申請書の交付や生活保護廃止のあり方などについて提言しています。

 検証委員会は市民から意見を募り十二月初めに最終報告を行います。



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