2007年9月26日(水)「しんぶん赤旗」

日本共産党国会議員団総会

志位委員長のあいさつ(大要)


 日本共産党の志位和夫委員長が二十五日の国会議員団総会でおこなったあいさつの大要は以下のとおりです。


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(写真)議員団総会であいさつする志位和夫委員長=25日、国会内

 みなさん、ごくろうさまです。まずはじめに、この前の日曜日(二十三日)に投票となった選挙において、東大阪市議選で九名全員が上位で勝利を勝ち取り躍進したこと、長野市議選も六名全員当選を勝ち取り議席占有率を大幅に引き上げたこと、この二つの勝利を喜びたいと思います。(拍手)

自民党総裁選――反省のないところから前向きの政治は生まれない

 この間、安倍首相の突然の政権投げ出しに続いて、自民党の総裁選がおこなわれ、新総裁に福田康夫氏が選出されました。私が、この二週間の経過の全体を通じて感じたのは、自民党という戦後日本において支配政党でありつづけた政党が、いよいよ政治的衰退を深めるとともに、政権党としての耐用年数が尽きつつあるということであります。

 総裁選を通じて、新総裁となった福田氏の口からも、対抗馬だった麻生氏の口からも、そして自民党の全体のだれからも、あの参議院選挙で国民から下された「自公政治ノー」という審判をどう受け止めるのか、何を反省すべきなのか、どこを改めなければならないのかについて、まともな議論はまったくありませんでした。本来だったら、それこそ総裁選の中心的な争点でなければならなかったはずの問題が、まったく素通りされました。ここには政権党としての末期状態があらわれています。私は、まともな反省のないところからは、前向きな政治は決して生まれないということを、まず指摘しなければなりません。

貧困と格差拡大の「構造改革」を継承――「希望と安心」はむなしく響く

 それでは、総裁選によって選ばれた福田康夫氏とは、どういう人物なのか。福田氏が、総裁選で出した政見を読んでも、ほとんど具体的な中身がありません。何をやりたいのかが、具体的に見えてきません。ただ、総裁選で、福田氏が繰り返し語った大まかな内容、そして福田氏がこれまでとってきた政治行動を見れば、どういう方向を向いているかは明りょうです。

 まず、福田氏は、国民のなかに深刻な貧困と格差を広げた「構造改革」路線について、「方向性は変わらない」ということを繰り返し言明しました。福田氏のキャッチフレーズは、「希望と安心の国づくり」だそうであります。「若者に希望が持てる国、国民とお年寄りに安心の持てる国づくり」ということだそうです。しかし私は、「よくいえるな」というのが率直な実感であります。

 若者が「希望」を持てない国にしてしまったのは、いったい何だったのか。労働の規制緩和をすすめ、不安定雇用、「使い捨て」雇用をどんどん増やしてきた「構造改革」路線ではありませんか。

 国民やお年寄りが「安心」して暮らせない日本にしてしまったのは、いったい何だったのか。連続した増税と負担増によって庶民の暮らしを痛めつけ、介護・年金・医療などあらゆる分野で社会保障を切り捨ててきた「構造改革」路線ではありませんか。

 そして、この「構造改革」路線を、小泉内閣の官房長官として、小泉首相と二人三脚ですすめてきた共同の責任者が、福田氏でありました。この路線にたいして国民のきびしい審判が下ったのに、その反省もぬきに、「希望と安心」といっても、むなしく響くだけであります。

海外派兵推進、対米従属の改憲派――国民的運動で包囲しよう 

 いま一つ、福田氏は、アメリカが「対テロ戦争」の名ですすめているアフガニスタンの報復戦争への自衛隊の支援について、この国会に、派兵を継続するための新しい法案を提出すると言明しました。

 この問題で私が強調したいのは、福田氏が、この間、米国がおこなった一連の戦争を無条件に支持し、日本の軍事的支援を推進したという点でも、直接の共同責任を負っている人物だということです。

 福田氏は、二〇〇一年にテロ特措法をつくったときの担当大臣だったということを自慢げにいっていますが、これは自慢になることでは決してありません。二〇〇三年に、イラクにたいするアメリカの侵略戦争が始まったときに、この無法な戦争にたいして、小泉首相といっしょに無条件の支持をあたえる先頭に立ったのも福田官房長官でした。

 そして、福田新体制になって憲法改定はどうなるのか。私はさきほど、朝日ニュースターのインタビューを受けまして、「改憲の様子がだいぶ変わるのではないか」ということも聞かれました。たしかに、安倍内閣の破たんとともに、改憲路線が大きな打撃を受けた、とくに「靖国」派路線が重大な挫折をこうむったのは間違いありません。同時に、忘れてはならないのは、自民党が「新憲法草案」をつくったさいの起草委員会で、安全保障問題の小委員会の委員長をつとめたのは福田氏だったということです。「新憲法草案」では、九条をいわばずたずたに書き換えてしまっています。九条二項を削除し、「自衛軍」を書き入れ、「自衛軍」の海外活動を書き込んでいます。この部分をつくった責任者が福田氏だったということを、忘れてはなりません。

 前任者の安倍首相があまりの“ウルトラ・タカ派”であったために、福田氏を“ハト派”と見るむきもありますが、それはとんでもない見当違いになります。アメリカいいなりに海外派兵をつづける、アメリカいいなりに憲法を改定して「海外で戦争をする国」をつくる――対米従属の改憲派という点では、福田氏は前任者と何ら変わるところはないということを見定めて、改憲策動を包囲する国民的運動をさらに大きく広げていくことが大切であります。

総選挙勝利へ、国政動かし、新しい政治の展望しめす論戦を

 国民の厳しい審判にたいして反省がない、そして国民から「ノー」の審判を突きつけられた「構造改革」路線、海外派兵と改憲路線にしがみつく。私は、こうした福田新体制が、早晩、政治的に行きづまり、立ち行かなくなることは必定だと思います。

 日本共産党は、福田新体制に正面から対決し、すみやかな解散・総選挙に追い込み、国民の審判を仰ぐことを強く要求してたたかうものであります。(拍手)

 どこで解散・総選挙になるか。これは予断をもっていえません。しかし、この臨時国会、もしくはそれに続く通常国会のどこかで、福田・自公政権が立ち行かなくなり、解散・総選挙に追い詰められていく可能性は十分にあります。またそういう状況をつくりだしていく必要があります。そういう国会ですから、私たちがしっかりと心得て臨まなければならないのは、この国会の論戦というのは、そのまま総選挙の政治論戦につながっていく論戦になってくることにもなるということです。まさに総選挙に向けた論戦のスタートだというつもりで、この国会でのたたかいに緊張感をもって全力をあげて取り組み、日本共産党国会議員団の真価を発揮する奮闘をしようではありませんか。

 きたるべき衆議院選挙がどういう様相の選挙になるか。これも予断をもっていえません。しかし、大きな流れから見るならば、参議院選挙で国民が下した「自公政治ノー」という審判に続いて、それでは自公政治に代わってどういう政治が求められているのか、どういう政治だったら国民の切実な要求にこたえられるのかが、いやおうなしに選挙戦の争点の前面におしだされてくる選挙になるでしょう。つまり自公政治に代わる新しい政治の中身が問われる選挙になってくるでしょう。またそういう選挙にしていかなくてはなりません。

 そのことを展望し、これからはじまる国会論戦では、国民の要求にそくして一歩でも二歩でも国政を前に動かすために奮闘をしながら、それとむすびつけて、どんな問題でも日本共産党ならではの根本的かつ現実的な打開策――「アメリカいいなり」、「大企業中心主義」という自民党政治の政治悪の根源にメスを入れ、政治の根本からの転換をはかる打開策を示し、自民党政治に代わる新しい政治の展望を大きく国民の前に明らかにしていく、国会論戦の新たな探求と発展をはかりたいと思います。

 一つひとつの直面する熱い課題について、一歩でも二歩でも政治を前に動かす努力とともに、綱領と日本改革の方針にそくして根本的な打開策を示していく――この両面の努力をつくしてこそ、日本共産党の真価をうきぼりにすることができます。ぜひ、そのための探求と努力をおたがいはかりたい。

 この国会を、きたるべき総選挙での前進につながる国会にしていくために、お互いに知恵と力をつくして頑張ろうではありませんか。以上をもってあいさつといたします。(拍手)


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