2007年9月26日(水)「しんぶん赤旗」

主張

福田政権発足

衰退と行き詰まり抜け出せぬ


 衆参両院で首相の指名選挙がおこなわれ、衆院では福田康夫自民党新総裁が選出されたものの、参院では決選投票で小沢一郎民主党代表が選ばれたため、両院協議会を経て、福田氏が新しい首相に指名されました。これを受け福田氏は組閣を行い、福田政権がスタートしました。

 首相指名に先立ち福田氏が公明党の太田昭宏代表と取り交わした自公連立政権の合意や、新内閣の布陣で浮き彫りになったのは、福田政権がこれまでの政権の基本路線を一歩も出ようとしていないことです。福田政権に、安倍政権が破たんしたことへの反省はありません。

基本路線継続する

 とりわけ自公の連立政権合意は、福田氏が自民党の総裁選で示した政権構想とともに、福田政権がこれから何を目指すかの骨格となるものです。その中身が「構造改革路線は確固として継続」だの、今国会で自衛隊の給油活動を継続するための「法整備を行う」だのと、基本路線の継続をうたうものとなったのは、この政権の反省のなさを、改めて証明したものです。

 自民党が先の参院選挙で大敗し、安倍首相が政権を投げ出さなければならなくなったのは、弱肉強食の「構造改革」路線やアメリカいいなりの改憲タカ派路線が国民との矛盾を拡大し行き詰まったからです。反省もなくその路線を継続しようというのは文字通り国民の意思に逆らうものです。反省のないところからは前向きの変化は出てきません。

 たしかに連立政権合意では「構造改革」をめぐる「負担増・格差の緩和」や、「『政治とカネ』の透明化」など若干の目新しさも盛り込まれました。こうした問題に目を向けなければならなくなったのは、国民の切実な要求と運動の高まりに照らせば当然のことです。

 しかしその中身は、福田氏が総裁選でも掲げた高齢者医療制度の見直しについて「早急に結論を得て措置する」ことなどで、結論は先送りした、部分的な手直しの域を出ません。「政治とカネ」の問題では一円以上のすべての支出に領収書の添付を義務付けることが盛り込まれましたが、その公開については各党間で協議するというにとどまり、参院選挙のあと、当時の安倍首相や中川秀直自民党幹事長でさえ認めていた、公開が「民意の大勢」という発言からも後退してしまいました。

 小泉・安倍内閣がすすめてきた「構造改革」路線は、大企業・大資産家をうるおすだけで、国民には福祉の切り下げと負担増を押し付け、貧困と格差の拡大を深刻な社会問題にしているものです。「負担増・格差の緩和」ぐらいで、問題が片付くわけはありません。「構造改革」路線の大本を改めないのでは、国民の切実な要求にこたえることもできません。

給油延長にらんだ布陣

 自公の連立政権合意がインド洋での海上自衛隊の給油活動についての法整備を改めてうたったのは、福田政権がアメリカいいなりに自衛隊の海外派兵を進める政権であることを浮き彫りにするものです。

 閣僚人事では、ほとんどの閣僚が留任するなか、町村信孝外相が官房長官に、高村正彦防衛相が外相に横滑りし、防衛相には石破茂氏が就任しました。海上自衛隊の給油延長をにらんだシフトです。

 反省がなくこれまでの基本路線にしがみつくだけの福田政権が、早晩行き詰まるのは避けられません。政治を国民の手に取り戻すために、速やかな解散・総選挙が不可欠です。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp