2007年9月8日(土)「しんぶん赤旗」

後期高齢者医療

保険料 年15万円のケースも

分科会で問題次つぎ

中央社会保障学校2日目


 第三十五回中央社会保障学校は七日、二日目を迎え岡山市内で分科会を開きました。来年四月からスタートする後期高齢者医療制度が大きなテーマになり、「医療構造改革を考える」分科会では、全日本民医連の原和人副会長が制度の内容を説明し、同制度は「中止、廃止すべき」と訴えました。


 後期高齢者医療制度は、七十五歳以上の人(後期高齢者)は世帯単位で加入する国民健康保険、共済(組合)健保を抜けて、個人単位の新たな保険に強制的に加入させられます。保険料負担がなかった被扶養者(家族)からも保険料を徴収します。

 厚生労働省の試算で保険料は、年二百八万円の年金収入の人で月平均六千二百円(年七万四千四百円)。保険料を滞納すると短期証、一年を経ると資格証明書になります。原氏は「保険料の負担はさらに増える」と指摘しました。

 同制度が「安らかな終末期を迎えるための医療」としていることにたいして原氏は、「元気になりたい、病気を治したいという当たりまえの願いは七十五歳を境に変わることはない。終末期の人のことを一般化し、高齢者を差別する考え方は許せない」と指摘しました。同時に「ハイリスクの高齢者を切り離すということは、保険になじまないし、破たんは必至といえる。経済的に厳しい高齢者から医療を取り上げ、差別を持ち込むもの」と批判しました。

 参加者が相次ぎ発言。「東京都の試算では最も高い設定で保険料が年十五万五千円になる。問題点を広く知らせ宣伝、署名運動をすすめる」(東京)、「国民年金法は第一条で憲法二五条に基づく社会保障と規定している。月一万五千円以上の年金受給者から介護保険、後期高齢者医療保険料を天引きするのは、健康で文化的な生活をする権利を奪うものだ」(大阪)とのべました。

 国民健康保険は市町村が運営主体ですが、後期高齢者医療制度は都道府県ごとにつくられる「広域連合」が運営主体になります。「名古屋市には独自の減免制度がある。広域連合で減免分が使えなくなると十一億円が他に使われ消える。議会への署名、広域連合への働きかけを強める」(愛知)と発言しました。

 第三十五回中央社会保障学校では、この日、「医療構造改革を考える」のほかに「年金・社会保険庁問題を考える」「国保・生活保護を考える」「社会保障入門」の四分科会(分散講座)を開きました。

 午後には、朝日訴訟の原告、故朝日茂さんのたたかいを振り返るツアーを実施。参加者は「人間裁判の碑」、朝日さんの療養病院跡などを訪ね、憲法二五条の生存権を根づかせ生活保護基準を改善させた、たたかいを語りあいました。


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