2007年9月3日(月)「しんぶん赤旗」

米ミサイル防衛計画

“先制攻撃に道開く”

英で国際会議 反対運動よびかけ


 【ロンドン=岡崎衆史】米国が欧州に築きつつあるミサイル防衛(MD)網に反対する国際会議が一日、ロンドン市内で開かれ、MD施設のある英国をはじめ、新たな施設がつくられようとしているチェコやポーランドなどの代表ら約百四十人が出席しました。参加者は、MDが相手の報復攻撃を無力化することで米国の先制攻撃を可能にする、防衛と無関係の存在であることを指摘。これを多くの人に知らせ、欧州、世界規模でMD反対運動を築くことを確認しました。


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(写真)1日、ロンドン市内で開かれたミサイル防衛に反対する国際会議(菊池友希子撮影)

 会議が出した声明は、MDが核軍拡競争を進め、新たな「冷戦」さえ引き起こしかねない状況を生み出し、欧州の人々を米国の戦争の前線に配置しようとしていると警告。「これに反対する世界規模の運動を築くために共同しよう」と呼びかけました。

 会議を主催した英核軍縮運動(CND)のケート・ハドソン議長は、「一九八〇年代にレーガン米政権が戦略防衛構想(SDI)を打ち出したとき、私たちは、防衛とは無関係の宇宙軍拡競争の本質を暴露してたたかった。今、防衛の名で登場してきたMDに対しても、先制攻撃戦略を進めるものであることを人々に訴えて反対の輪を広げよう」と訴えました。英戦争ストップ連合のアンドルー・マレー議長も「MDは米国の世界支配の道具であり、世界中の誰に対しても攻撃を仕掛けることを可能にする」と指摘しました。

 会議には、MDのレーダー基地建設が予定されているチェコ・トロカベツ村のヤン・ネオラル村長が参加。同村長は、今年三月実施の住民投票で八十六対一でMD反対派が圧勝したことや、MDに反対する首長が一週間で三十一人から八十五人に激増したことを紹介しました。

 MDの迎撃ミサイル設置が予定されるポーランドからは、反戦団体のフィリプ・イルコウスキさんが出席し、同国でもMD反対が賛成の二倍に当たる約56%であることを報告しました。

 英国でも68%がMD導入に関して政府が国会の同意なく勝手に決めることに反対しています。多くの発言者は、こうした国民世論に依拠して、国会議員を動かし、政府をMD反対の立場に追い込む運動を進めようと訴えました。



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