2007年9月1日(土)「しんぶん赤旗」

過労自殺 労災認めて

NOVA社員の両親提訴


 英会話学校最大手NOVA(ノヴァ)の子会社に勤務していた渡邉孝さん=当時(28)=の自殺を労災と認めなかった東京・新宿労働基準監督署の不支給処分の取り消しを求めて、両親=千葉県在住=が三十一日、国を相手取って東京地裁に提訴しました。

 渡邉さんは大学卒業後の二〇〇一年四月にノヴァ(統括本部・大阪市中央区)に入社。〇四年七月に子会社ノヴァスペースデザイン新宿営業所に転籍し、新教室開設の内装工事に関連する業務に従事していました。転籍三カ月後の十月四日、出勤途中に途中下車して投身自殺しました。

 訴状によると、子会社に転籍以降、不慣れな仕事に加えて勤務・拘束時間が著しく長くなり、とくに自殺直前の九月下旬には帰宅は連日午前零時を過ぎ、就寝するのは午前二時ごろでした。

 会社側の記録をもとに労基署が認定したものでも、亡くなる直前三カ月間の時間外労働は月平均八十時間にのぼり、徹夜業務は七回ありました。八月中旬に「心身ともに限界」として退職願を提出したものの、上司から「こんな形で辞めると再就職で不利になる」と撤回させられました。

 ノヴァは、一九八一年に第一号教室を開設して以降、「一千教室達成」をスローガンに拡大路線を突き進み、開業から二十年目に五百教室を突破、それ以降も三百件を超す教室を新設しています。こうした拡大ペースに対応した十分な人員体制もなく、その結果、労働者は過重労働を余儀なくされていました。

 両親は〇五年七月に新宿労基署に労災申請しましたが認められず、不服申し立ての審査請求も棄却されました。現在、労働保険審査会に再審査請求をしています。

 息子の遺影を前に記者会見した両親は「やっとこの日を迎えたことをうれしく思います。亡くなってから一日たりとも息子のことを忘れたことはありません。労災を認めない日本の労働行政の遅れ、弱者保護の欠如を痛感しています。転籍からわずか三カ月で自殺しましたが、その事実の背後に何があったのかを裁判で明らかにしたいと思います」と話しました。


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