2007年8月16日(木)「しんぶん赤旗」

主張

教研全国集会

模索の時代 教育の未来語ろう


 今日から四日間、「教育のつどい2007」教研全国集会が広島で開かれます。

 「教育再生」を「最重要課題」としてかかげ、教育基本法改悪を強行した安倍晋三政権は、七月の参議院選挙において歴史的な大敗を喫しました。「戦後レジームからの脱却」の名の下に、教育の民主主義的な原則を攻撃し、国家統制をつよめようという企ては、大きな打撃をうけました。世論調査では、安倍政権の「教育改革」を「評価しない」という回答は55%をこえています。

子どもの現実から

 選挙結果は、国民が自民・公明の古い政治の枠組みに代わる、新しい政治を探求する時代のはじまりを示しました。これは、教育政策の転換にとっても、おおきな可能性をもつものにほかなりません。

 こうした時に、教職員、保護者、子ども、市民、研究者がつどい、教育の未来を探求する集会を開くことはたいへん意義深いものです。

 私たちは何より、子どもの現実に目をむけたいと思います。政府や財界は、日本の子どもは学力も規範意識もダメだから「改革」だと声高にいいます。しかし、その前提は本当でしょうか。

 客観的にいえることは、学力では国際的には成績上位でも「勉強嫌い」が世界一多いこと、そして「成績下位層」がふえていることです。

 規範意識を問題にしなければならないのは、子どもではなく、安倍政権ではないでしょうか。

 日本の子どもは世界一孤独で、イライラやむかつきの感情をためています。悪くなったのは子どもではなく、貧困と格差、競争主義の風潮など、子どもをとりまく環境のほうです。

 安倍政権は「統制と競争」の教育を際限なくつよめました。権力が教育の目標を設定し、学力テストや予算配分によって子ども・教員らを競争させ、その達成をはかるというやり方です。しかしそれは、東京・足立区でのテスト不正など、深刻なゆきづまりに直面しています。

 「統制と競争」をやめ、子どもの成長をささえる教育をどう進めるのか。多様な実践が交流され、研究が深まることを心から期待します。

 教育条件の整備も焦眉(しょうび)の課題です。日本の教育予算の水準は、OECD(経済協力開発機構)三十カ国中最低です。教育をよくするにはここを改めることが不可欠だという認識は、文科省の中央教育審議会でも大勢をしめ、野党のマニフェストでもほぼ一致しています。私たちは、自公政権をおいつめ、国民のみなさんとともに世界有数の教育条件を築くため、全力をあげます。

 集会の開催地は、原爆が投下され、人間の尊厳がうばわれ、そして人間の尊厳を回復する努力が重ねられている広島です。「日本の戦争は正しい戦争だった」と子どもに教えこむことを国民の良識でやめさせ、平和の尊さを伝える決意を語り合おうではありませんか。

憲法を土台に

 今年の教研集会は、教育基本法が改悪されてはじめて開かれるものです。歴史的な教育基本法のたたかいは、たとえ基本法が改悪されても、憲法があるかぎり、教育は子どもの成長する権利にこたえる文化的営みであり、国家の介入はできるかぎり抑制されるという原則があることを浮き彫りにしました。

 この土台のうえに、子どもの成長と発達を中心にすえた教育をすすめるため力をあわせましょう。


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