2007年8月9日(木)「しんぶん赤旗」

主張

政治とカネ

国会は解明の責務を果たせ


 安倍晋三首相は、参院選で示された「政治とカネ」の問題での国民の憤激にたいし、赤城徳彦前農水相の辞任、政治資金規正法の再改定で対応しようとしています。

 疑惑を解明し責任を明らかにするのでなく、疑惑閣僚をかばいぬき、選挙後に真相を隠したまま大臣を辞任させるといった安倍首相の対応そのものに、世論の怒りは向けられています。「大臣が辞めれば終わり」と疑惑隠しに逃げることは、さらに国民の不信を広げるだけです。

疑惑は拡大の一途

 赤城氏の疑惑は大臣辞任でもやみません。公職選挙法違反の疑いもある経費の二重計上が新たに判明しました。説明も反省も無しの「辞任で幕」は通用しません。

 安倍内閣ほどの「政治倫理不在」内閣はかつてありませんでした。

 事務所費・光熱水費疑惑は、昨年十二月に辞任した佐田玄一郎前行革担当相からドミノ倒しのように、自殺した松岡利勝元農水相、伊吹文明文科相、長勢甚遠法相、甘利明経産相、赤城前農水相、塩崎恭久官房長官へと拡大の一途です。

 一人として、領収書を示し、まともな説明をした大臣はいません。「法にのっとり適正に処理した」と口をそろえ、疑惑に反省するどころか、逆に政治資金規正法をたてに開き直るありさまです。そして、どうにも行き詰まったら辞任で幕引き―これでは国民はやりきれません。

 「政治とカネ」は政治家の根本的な資格にかかわる問題です。疑惑をかけられた政治家は自ら国民の前に真実を明らかにし、批判を仰ぐ姿勢がなければなりません。真相解明なしに疑惑が闇から闇へと葬られるから、けじめがつかず、どんな法制度をつくっても新たな抜け道をつくり、不正がくりかえされるのです。

 前の国会で与党が強行した政治資金規正法改定がなんの役にもたたない「ザル法」であったことは、安倍首相が再改定を言い出したことで証明ずみです。日本共産党はもともと、すべての支出の報告について、領収書添付を一円から義務付けるべきだと主張してきました。

 参院選での惨敗後、自民党の中川秀直幹事長は「すべての政治団体に一円以上の領収書公開を求めるのが民意の大勢だ」と言い出しました。自民党内ではさっそく強い反対論が出ています。いくら「反省」を口にしても、疑惑解明という根本の課題を避けたままでは、真の再発防止策が出てくるはずはありません。

 安倍内閣と与党が真相解明に背を向けるなか、国会が解明の責務を果たすことがいっそう重要です。

 過去の幾多の金権腐敗疑惑で、日本共産党や民主党など野党が証人喚問を要求し、自公が疑惑隠しの党利党略で拒否するという構図が繰り返されました。参院の与野党逆転は与党の数の横暴を許さない新しい可能性を生んでいます。日本共産党の志位和夫委員長は七日の議員団総会で「私たちは、衆議院でも参議院でも、とくに野党多数になった参議院で国政調査権を発動し、徹底的な真相究明をおこなうことを強く求めて、たたかう」とのべました。

積年のウミ出し切れ

 参院第一党になった民主党は国会運営で新たな「責任」を負う立場になりました。法改正だけでなく、最大の課題である真相究明で積極的な役割を果たすことが求められます。

 日本共産党は、新たな構成となった国会で、積年の政治腐敗のウミを出し切り、国民が求める清潔な政治を実現するため全力をあげます。



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