2007年8月8日(水)「しんぶん赤旗」

主張

ASEAN40周年

平和なアジアづくりの原動力


 四十年前のきょう、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイの五カ国外相がバンコクで東南アジア諸国連合(ASEAN)を設立しました。八四年以降、ブルネイ、ベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジアが次々に加盟し、現在十カ国で構成される地域機構となっています。

 ASEANはいまやアジアの平和と経済発展にとって大きな役割を果たし、東アジア共同体づくりでも重みを増しています。

外交と対話を重視

 ASEANにはベトナム戦争という苦い体験があります。この体験から、ASEANは戦いあった国ぐにをふくめ東南アジアを平和の地域にすることをめざしました。これがこんにちのアジアの平和の流れにつながっていることは明白です。

 戦争が終わったあとの七六年二月にASEANがはじめて開いた首脳会議で採択された「東南アジア友好協力条約」(TAC)は、とりわけ重要です。TACは領土保全や内政不干渉などとともに「意見の相違または紛争の平和的手段による解決」「武力による威嚇または武力の行使の放棄」を明記しています。これによって締約国同士が脅威を払しょくし、信頼を寄せ合うことができます。

 実際、ASEANはTACを土台に友好協力関係をつよめてきました。中国や日本、オーストラリアなどASEAN以外の国をふくめると二十四カ国で、欧州連合(EU)も加入の意思を表明しました。東南アジアから発信した平和の流れが大きくなっていることの表れです。

 七月のASEAN外相会議は、朝鮮半島の非核化について「対話と交渉を通じた核問題の平和的解決」を強調しました。イラク問題でも、「イラクの外国軍の計測された段階的な撤退」を求めています。外交と対話で問題を解決する原則が根付いていることを示しています。

 東南アジア非核兵器地帯条約(九五年)も重要です。締約国が核兵器を製造も貯蔵もしないというだけでなく、ASEAN諸国の経済水域二百カイリ内では海でも陸でも外国の核兵器持ち込みを禁止しています。ASEANを足場に核戦争することを拒絶したこの条約は、世界から核戦争の脅威をなくすことに貢献するものです。中国やロシアは条約への支持を表明していますが、核兵器を先制攻撃戦略の柱にすえているアメリカはいまだに反対し続けています。

 ASEAN諸国は七月に、東南アジア非核兵器地帯条約にかんする初の閣僚委員会を開き、条約を拒否する核兵器保有国にたいして条約署名をせまることをふくむ、こんご五年間の「行動計画」を採択しました。核兵器保有国はASEANの求めに応じるべきです。

 ASEANは二〇二〇年までにASEAN共同体をつくる計画です。しっかりしたASEAN地域機構を確立しながら、「アジアのことはアジア人で解決する」という立場で、平和と共存の東アジア共同体づくりにも主導権を発揮することが大いに期待されます。

侵略の反省が不可欠

 日本がアジアで生きていくためには、アメリカの代理人としてふるまうのではなく、アジアの一員として友好協力関係を強化する必要があります。そのさい、過去のアジア侵略戦争と植民地支配への態度が問われるのは必至です。

 安倍政権は侵略戦争を正当化する「靖国」派外交をやめて、アジアの新しい流れに合流すべきです。


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