2007年7月28日(土)「しんぶん赤旗」

主張

1個のおにぎり

餓死生む「棄民政治」根絶を


 一個のおにぎりが食べられずに五十二歳の男性が餓死しました。北九州市でまたも起きた事件ですが、一地方の特異な例ではありません。「経済大国」の日本で一九九五年以来、毎年百人近くが餓死しています。死亡診断書に「餓死」と記されたものだけの統計で、氷山の一角です。

 健康で文化的な最低限度の生活を保障することをうたった憲法二五条を持つ国で、こんなことが許されるのか。同条二項は、国にたいして福祉の「増進に努めなければならない」と明記しているのに―。「これは行政による殺人事件ではないのか」と抗議と怒りの声が広がっています。

「ストップ貧困」は急務

 餓死は一九九五年を境に急増しています。それまでの二十人台が同年に六十人台となり、以降毎年百人近く、〇五年までの合計は八百六十七人にのぼります。

 九五年というのは、財界と政府が一体となって大企業の利益を優先する「構造改革」のあらわれが顕著になった時期です。それまであったルールさえ破壊し、日本社会を一変させます。餓死の急増は、この「構造改革」の犠牲者ともいえます。

 職場ではリストラのあらしの後に派遣、請負という非正規雇用で働く人が急増し、全労働者の三割、千七百万人に及ぼうとしています。その賃金は年間百五十万円から二百万円という低さです。商店街はシャッター通りに変わりました。農村からも若者の姿が消えました。

 政府の示す最低生活水準である生活保護基準よりも低い収入での生活に人々が追いこまれ、貧困世帯は全世帯の25%を超えているとみる研究者もいます。異常な貧困拡大です。

 追い打ちをかけたのが社会保障の破壊です。九〇年代末にスタートした自民・公明の連立政権は、生存権の保障という国の責務を投げ捨て、医療・年金・生活保護などの社会保障を破壊し続けてきたのです。

 最後の命綱である生活保護についても老齢加算や母子加算の削減・廃止、基準引き下げにとどまらず、生活保護を必要とする人々を窓口で追い返し、不法な方法で打ち切っています。北九州の男性も生活保護を打ち切られて餓死に追いこまれました。

 人々が貧困に苦しんでいるとき、一軒一軒訪ねてでも、暮らしが成り立つようにすることこそ政治・行政の役目です。それを投げ捨てるばかりか、最後の「おにぎり」さえたたき落とす。「棄民政治」そのものです。人々を見捨てる政治に、社会の連帯した力で反撃し貧困をなくそうという声と運動はいまや切実です。

 日本共産党は、何より人々の命を貧困と戦争から守り、人間らしく生きることのできるようたたかってきた党として、「ストップ貧困」「命を守れ」と訴え続けてきました。

 「おやじが病気で倒れた。私は障害があり働けない、助けてくれ」。こうした電話に夜も昼もなく駆けつけ「おっちゃん、大丈夫や」と入院や生活保護をとれるように尽力する。全国で生活相談などの活動に取り組んでいる日本共産党員の姿です。

命のかかった参院選挙に

 「棄民政治」によって国民の命が奪われつづける中で、あす投票日を迎える参院選挙は、文字通り命のかかった選挙になりました。選挙のさなかにも、日本共産党に「助けてください」などの切実な声が次々寄せられる異常な事態です。

 貧困をなくし命を守る思いを、日本共産党に託してください。日本共産党の前進で、貧困から命を守る政治を切り開こうではありませんか。


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