2007年7月22日(日)「しんぶん赤旗」

政府広報

増税の大きさごまかす

「定率減税廃止の影響は1割」


 内閣府政府広報室が発行した政府広報「あしたのニッポン」は、六月からの住民税増税について「定率減税の廃止による影響は1割程度です」と宣伝しています。これは自民・公明政権が廃止した定率減税廃止の影響を小さくみせようとするまったくのごまかしです。


所得税分外す

 定率減税の廃止と税源移譲で、六月に住民税が増えたのは三兆四千億円です。

 政府広報が「1割程度」というのは、住民税の定率減税廃止による影響(約四千億円)だけの話です。所得税の定率減税廃止による増税(約一兆三千億円)をあわせて考えると、約一兆七千億円の増税です。「一割程度」どころか、ほぼ五割が定率減税廃止による影響です。

 税源移譲というのは三兆円を国(所得税)から地方(住民税)へ移すという話です。一月に実施された所得税の定率減税の廃止による増税(約一兆三千億円)は、税源移譲による所得税の減税(三兆円)によって、一―五月は隠れた形になっていました。それが、六月から税源移譲によって住民税が増えた(税源移譲分は三兆円)ことに伴って、隠れていた所得税の定率減税廃止分(約一兆三千億円)も負担増となって表面化したのです。

恒久的のはず

 さらに、同広報は、定率減税が「危機的な経済情勢の中で景気対策として導入された暫定的な措置」だったとし、「経済状況の改善を踏まえ」て全廃したとのべています。

 しかし、定率減税は、政府が決めた「一九九九年度税制改正の要綱」(九九年一月)にも「恒久的な減税」と明記されていました。導入当時の文書にはどこにも「暫定的な措置」という表現は見当たりません。

 その上、定率減税全廃は「経済状況の改善を踏まえ(た)」といいますが、同紙がその理由づけにあげるのは、名目成長率や民間企業設備など九〇年代末から二〇〇六年にかけて増加した経済指標だけです。

 大企業はバブル期を超える空前の利益を更新し続けていますが、雇用者報酬など、同紙が取り上げない指標は九七年比で減少しています。

 定率減税と同時に実施した大企業減税(法人税率引き下げ)はそのままにして、依然低迷する家計への負担増だけは強行するというのは、道理にあいません。

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