2007年7月20日(金)「しんぶん赤旗」
中小業者の経営直撃
「資金繰りは」「営業再開は」
新潟県中越沖地震は、生活の場に大きな被害を与えただけでなく、中小業者の経営も直撃しました。同県柏崎市の柏崎民主商工会には、自宅が被災して生活再建すら困難ななか必死に経営を守ろうとする業者から深刻な実態が寄せられています。十九日、同民商事務局員の武井勝則さんとともに被災地をまわりました。
「はやく出来上がった部品を買ってくればいいんだが…。難しそうだ」。鉄工所を経営する男性(64)=柏崎市中田=が訴えます。親会社が営業を再開できずにいるため、部品の納期を過ぎても引き取りにこないのです。
男性は夫婦二人で小学校に避難しています。自宅は「大工さんが暮らせねえって言うんだ」。震災でコンクリートの基礎が二十センチ沈み、二十センチ横にずれました。家の中は、畳が十五センチも持ちあがっています。「建て直すにしても、長いローンは組めない」
自宅に隣接する作業場は「七百五十キロもある工作機械が二十センチ以上も横にずれた」というほどの揺れで「めちゃくちゃ」に。削り出したばかりの製品は、作業場内部を区切るブロックの壁が倒れて下敷きになりました。「なんとか片付けたが、まだ作業する気になれないよ」と語りました。
「銀行がどれだけ待ってくれるか、これが問題」というのは、同市駅前通りで六年前からラーメン店を営む男性(62)。開業資金の返済を心配しています。
水道もガスも止まっているため営業再開は未定です。「メンはあってもスープがつくれねぇ」。十日ほどの休業で、約五十万円の売り上げを失うといいます。どんぶりも百個すべてが割れ、ガス台も一部が割れました。
被災者が食べ物に困っているときに営業できないことを、男性はつらく感じています。「本当はタダでだって、オレのラーメンを食わせてやりてぇ。でも、どうにもならん。資金もなんとかしないと」。もどかしそうに語りました。(本田祐典)