2007年7月19日(木)「しんぶん赤旗」

「米と肩を並べ武力行使」

安倍発言にみる改憲の目的


 安倍・自民党は参院選公約の冒頭に三年後の改憲案発議を掲げる一方、改憲の狙いについては口をつぐんでいます。海外でアメリカと肩を並べて戦争する国をつくる危険な狙いがあるからです。

 この問題では、日本共産党の志位和夫委員長が、十二日の深夜番組での党首討論で安倍首相に対し、安倍氏が昨年の自民党総裁選で“アメリカと肩を並べて武力の行使をする。それは憲法の解釈ではできない。憲法改定抜きにはできない”と発言をしていたことを指摘。「これは逆を言うと憲法改定の目的がアメリカと『肩を並べた』戦争する国をつくることにあるとしか読み取れない」として、選挙においても明確にするよう迫りました。安倍首相は「勝手に読み取ってもらったら困る」などとのべました。

 志位氏が指摘した安倍首相の発言は、昨年九月十一日の日本記者クラブ主催の自民党総裁選公開討論会でのもの。首相は海外での武力行使を可能とする集団的自衛権の行使について「中核概念と外的な概念がある。実際に(アメリカと)肩を並べてたたかうことは中核的概念。最初からどこかへの武力行使について肩を並べてたたかう、あるいは地球の裏側まで行ってというのは、それは禁じられた解釈だと思う」とのべました。

 これは、地球の裏側まで行ってアメリカと肩を並べてたたかうという「集団的自衛権の中核概念」を、解釈で可能とするのは無理だが、「外的概念」は解釈変更で対応できるはず、というものです。現在進められている集団的自衛権の解釈変更を目指す有識者会議の活動につながるものです。

 これを逆から言えば、「肩を並べて武力行使する」体制は憲法改定で実現するということで、改憲の目的はここにあります。

 「軍事同盟というのは“血の同盟”」(『この国を守る決意』)だと公然とのべる安倍氏は、〇五年十月にも「(日本国民は)海外での紛争に一緒に米国と肩を並べて武力行使をするという意識には至っていない」「その前の段階で、いろんな法的障害を、また憲法の解釈に関する障害を取り除いていく」(都内での講演会)と同様の発言をしています。

 昨年の総裁選マニフェスト「美しい国、日本」では、「『世界とアジアのための日米同盟』を強化させ、日米双方が『ともに汗をかく』体制を確立」と強調していました。

 選挙公約に「改憲発議」という国民主権に直結する重大テーマを掲げた以上、安倍・自民党は改憲の内容と目的を正面から国民に示すことが求められます。



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