2007年7月17日(火)「しんぶん赤旗」

北朝鮮めぐり日米に溝

はしご外された安倍政権


 参院選で安倍晋三首相は拉致問題担当の中山恭子首相補佐官を比例候補に起用するなど「たたかう政治家」をアピールします。しかし、頼みのアメリカが政策転換し、「最大の売り」である対北朝鮮強硬政策が揺らいでいます。

 「ブッシュ大統領の配慮にもかかわらず、アメリカが北朝鮮のテロ支援国家指定を解除しない保証はない。政府として不安が消えないから、ヒル国務次官補らと会うたびに拉致問題の重要性を言い続けなければならない」―北朝鮮問題をめぐって生じた日米間の溝について、日本政府高官は、こういいます。

破たんの事態

 安倍政権の強硬政策の裏づけが、アメリカが北朝鮮を「テロ支援国家」に指定していること。安倍首相は、北朝鮮の「テロ支援国家」指定解除は拉致問題解決が条件になる、と説明してきました。それが破たんしかねない事態です。

 朝鮮半島の非核化をめざす「初期段階の措置」で合意した二月の六カ国協議。米朝間の完全な外交関係確立やテロ支援国家の指定解除などの作業開始が確認され、安倍政権に衝撃を与えました。

 十八日には六カ国協議が再開されます。北朝鮮は寧辺の核施設の稼働停止・封印作業を実施。核施設の無能力化問題や朝鮮半島の恒久的な平和体制構築の協議が日程にのぼりつつあります。拉致問題の進展なしに、米朝主導で動く構図です。

 日米間の「溝」の原因は、拉致問題への対応です。北朝鮮を核放棄にむかわせるため、米韓など関係国は見返りにエネルギー支援をすることで合意しています。しかし日本は「拉致問題の進展・解決がない限りエネルギー支援はしない」との立場。北朝鮮が核を凍結すればエネルギー支援をすると表明した小泉政権と比べても、きわだった強硬姿勢です。

 支持率急落の安倍首相にとって、対北朝鮮強硬姿勢が政権を下支えする「命綱」。それが日本外交を拘束し、朝鮮半島が非核化に向かおうとするときに日本の影響力は著しく低下し、拉致問題解決を妨げているともみられるようになりました。

 アメリカはこの間、具体的解決へ「拉致問題の進展・解決の定義」を示すよう求めてきました。米朝交渉に詳しい専門家は「アメリカが求めているのは拉致問題解決へのロードマップ。行方不明米兵問題の解決が念頭にある」と指摘します。

転換余儀なく

 一九七五年にベトナム侵略戦争が終結したあと、両国の国交正常化の過程で、行方不明となった米兵の家族や軍関係者らが、行方不明米兵問題の「完全解決」なしの国交正常化に反対しました。米政権は、問題解決の進展具合に応じた段階的な関係改善を提示。正常化にこぎつけた経緯があります。

 「ブッシュ政権は同盟国として、アメリカが核問題で進展するときに日本も拉致問題で前進してほしいと考えているが、官邸の硬直した対応に懸念と不満を募らせている」(日本政府高官)

 自民党内で交わされるキーワードは「アメリカと歩調があっているのか」。六カ国協議の中で孤立しがちな日本が強硬政策をとりえたのは、ブッシュ政権もまた強硬路線だったからです。

 ブッシュ政権は、「見返りを与えない」「二国間協議はしない」と言明し、武力行使も排除しない姿勢をちらつかせ北朝鮮を威嚇してきました。しかし、北朝鮮に核実験を許し破たんがはっきりしました。北朝鮮と直接交渉し、段階的解決をすすめる路線に転換せざるを得なくなったのです。

 アメリカにはしごをはずされて、安倍首相の北朝鮮強硬政策は存立の余地がせまくなっています。「参院選後は政策転換を余儀なくされる」との見方が浮上しています。



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