2007年7月14日(土)「しんぶん赤旗」

「イラク撤退」可決

米下院 来年4月期限

大統領は増派に固執


 【ワシントン=鎌塚由美】米議会下院は十二日、イラクからの一部部隊の撤退を求める法案を採決しました。これに先立ちブッシュ政権は同日、米国がイラク政府に求める治安など十八項目の課題における進ちょく状況の報告を発表しました。下院の撤退法案は、ブッシュ大統領が増派計画に固執する姿勢を示したことに対抗したものです。


 下院本会議で可決したのは、一部の米戦闘部隊を二〇〇八年四月一日までに撤退させることを盛り込んだ法案。賛成二百二十三、反対二百一でした。下院で撤退期限が盛り込まれた法案が採択されるのは二度目。ブッシュ大統領は、米軍の撤退を盛り込んだ法案に対しては前回に続き拒否権を発動する構えです。

 法案の内容は、一部の部隊を撤退させながらも、イラク軍を訓練する部隊や米国施設を保護する部隊は引き続き駐留させるというもの。十人の民主党議員が反対しましたが、四人の共和党議員が賛成しました。

 ブッシュ政権が発表した報告は、ペトレアス現地司令官が九月に増派作戦の進展を報告するまでの「中間的」なもの。米議会が設けた治安、政治、経済分野での基準ごとの評価を「満足」「不満足」で評価。十八項目のうち「満足」が八分野、「不満足」が八分野、残りは「評価が難しい」としました。大半が未達成となっています。

 治安については、「情勢は依然として複雑で極めて能力が試される」事態だとし、「連合軍とイラク軍にとって夏を通して厳しいたたかいが予期される」としています。

 ブッシュ大統領は同日、報告発表前に記者会見。戦死米兵が三千六百人を超え、共和党大物議員からも大統領への異議があがっているなか、今すぐ撤退を開始しろという声については「イラク、中東地域にとっても、米国にとっても危険だ」と強調しました。

 ブッシュ大統領はまた、中東地域の安定に向け、八月初旬に、ライス国務長官とゲーツ国防長官を同地域に派遣する考えを明らかにしました。

 「中間報告」について、米議会共和党の重鎮で増派計画に懸念を表明してきたウォーナー上院議員は「イラク政府は、わが軍の相当な犠牲に見合う指導性を発揮していない」と指摘。民主党のリード上院議員は「イラク戦争が危険な方向へ向かっている」ことが確認できたと語りました。



■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp