2007年7月9日(月)「しんぶん赤旗」

不正発覚 学力調査見直せ

正規の授業ゆがめた

予算配分制度に問題

東京・足立の父母ら宣伝


 東京都足立区教育委員会が昨年四月に行った区独自の学力テストで、小学校一校が、障害のある三人の児童を採点の対象から除外していたことに八日、父母や教職員から「学校教育をゆがめ、子どもを犠牲にする学力テストは見直して」と怒りの声があがりました。

 区内の親たちでつくる「足立の学校教育を考えるネットワーク」(高須有子代表)は夕方、竹ノ塚駅前で宣伝し、学力テストの見直しを求める署名を呼びかけました。

 「学力テストについて不正があるという、うわさは聞いていましたが本当だったとは。ひどい話です」。中学三年の子どもがいる栗橋聡子さん(40)は、怒りをこめて語りました。

 「子どもたちのためのテストではなく、学校のためのテスト。学力はないがしろにされて、学校の平均点をあげるために、おとなが躍起になっている。子どもたちはモルモットじゃありません」

 区教委の学力テストは、二〇〇五年度から区立の全小中学校で小二から中三までの全児童・生徒を対象に始まりました。

 都教組足立支部(五十嵐良太委員長)は、学力テストが実施されるたびに、学校現場に与える影響を調査し、学力テスト対策のために「正規の授業時間を十二時間も使った」「冬休みに三日間登校させ補充授業をさせた」など、正規の授業をゆがめている実態を告発。

 「成績の良くない子どもの答案用紙を提出しない」などの「不正行為」も指摘し、学力テストの中止などを求めてきました。

 五十嵐委員長は、こうしたゆがみや不正が起きる背景について「テストの結果によって学校を序列化し、予算を配分するような制度に問題がある」と指摘します。

 同区では〇二年度から学校選択制を導入し、公表される学力テストの結果によって、入学希望者に極端な偏りが起きるようになりました。

 日本共産党の針谷幹夫区議は「学力テストの成績公表で学校間の格差を広げ、こうした不正行為を助長していることは明らかです。足立区の教育改革は学力テストの結果で学校予算に差をつけるなど国の方針を先取りしたものです。安倍内閣の教育改革では、学校や教職員、子どもたちを『競争』させ、格差をいっそう広げるだけで、真の学力向上につながらないことを示しています。今回の問題は、『競争教育』のゆがみの典型です」と話しています。



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