2007年6月23日(土)「しんぶん赤旗」
「次は最終回の覚悟」
大日岳訴訟原告団 和解協議で
国が主催する冬山研修中に雪庇(せっぴ)の崩落に巻き込まれて死亡した大学生2人の遺族が、国を相手に約2億円の損害賠償を求めた訴訟の第2回和解協議が22日、名古屋高裁金沢支部(渡辺修明裁判長)で開かれました。協議は合意に至らず、次回は7月26日に設定されました。
原告団の中島嘉尚主任弁護士は協議の到達点を「頂に近づきつつある」とたとえ、「次を最終回にする覚悟で臨んでいる。できる限り大勢の人にきてほしい」と支援を訴えました。
事故は2000年3月5日、富山県の北アルプス・大日岳で文部省(当時)登山研修所が行った研修会で起きました。国は、事故は不可抗力として責任を認めず、遺族に謝罪もしませんでした。一審の富山地裁は昨年4月、国の過失を認めて約1億6千7百万円の賠償を命令しましたが、国が控訴。控訴審は3月12日に結審し、和解勧告が出されていました。
これに先立ち、遺族らは同支部に公正な裁判を求める署名約5千5百人分を提出。一審と合わせると目標の30万人を超えました。原告の女性は「控訴審が始まってからは1年足らずで11万人もの署名が集まり、支援の勢いが違った。事故の真実がだれの目にも明らかになってきたのだと思う。最後まで頑張りたい」と語りました。