2007年6月22日(金)「しんぶん赤旗」

主張

会期延長

“問答無用内閣”の許せぬ暴走


 安倍晋三首相と公明党の太田昭宏代表が今国会の会期延長で合意し、自民、公明両党は十二日間の延長を衆参両院議長に申し入れました。

 安倍内閣が登場して九カ月。九条改憲のたくらみを頂点とする右翼・タカ派の「靖国」派内閣に国民の警戒感が高まっています。「消えた年金」問題での無責任、「政治とカネ」の問題で示した首相の冷酷さと倫理の欠如に民意は一気に離反しています。安倍首相は問答無用で重大悪法の強行を重ね、それでも足りず、今度は掟(おきて)破りの会期延長だといいます。まったくもって言語道断です。

会期制原則踏みにじり

 日本の国会は「会期制」の原則をとっています。国会は決められた会期の中で審議をし、会期末になっても審議が終わらなければ法案は廃案にするというのが当たり前のルールです。会期制は、多数派の横暴を抑え少数意見を保護するための憲法と国会法による定めです。それが政府・与党の都合で簡単にくつがえされるなら、国会はただの「悪法製造マシン」にされてしまいます。

 毎年一月に開く通常国会の会期は百五十日間、今国会の会期末は二十三日です。国会法は通常国会について一回限り会期の延長を認めていますが、与野党がともに合意するようなよほどの緊急課題があるときの例外措置です。今回の延長に、一片の道理もないのは明らかです。

 しかも、直後に参院選を控えている今回の通常国会で、延長はできないというのが政界の常識でした。七月五日公示、同二十二日投票でほぼ確定していた期日を、国民が投票しづらい夏休み期間の七月二十九日に先送りするというのは異常です。

 各地の選挙管理委員会では投・開票所の手配から入場券、広報資料の作り直しなど大混乱です。参院選と同日に知事選を行うことで三億円の経費節減を見込んでいた群馬県や、市長選で数千万円の節減を見込んでいた埼玉県狭山市など、首相の身勝手のため全国でどれだけの税金が使われることになるかわかりません。

 そんなむちゃまでして延長国会で通そうとしているのが、国家公務員法改定案、社会保険庁解体法案です。

 首相は「官製談合、天下りは国民の関心が高い。戦後レジーム(体制)を断ち切る自分の内閣でこの法案を通したい」と参院選向けの売り物にしようとしています。

 「公務員法案」は、最低限の天下り規制もとりはらい「官民人材交流センター」という天下御免の天下り機関をつくって官業癒着をいっそう深めるものです。「社保庁解体法案」も、国の責任で国民の年金受給権を守る道をふさいでしまう最悪の責任逃れでしかありません。

 自民党は、真の問題解決の道を示すのではなく、責任をすべて現場に押し付ける「公務員たたき」で焦点をぼかし、選挙を乗り切ろうとしています。「消えた年金」への強い怒りにうろたえた与党内には、「世論はすぐに沈静化する」(自民党幹部)と、投票日先送りで逆風がやむことへの期待もあります。こんな党利党略が通用すると思っているなら、あまりに国民をばかにした話です。

たしかな野党こそ

 安倍自公内閣の暴走は、あらゆる点で国民の利益と正面衝突する危険なものです。日本共産党は延長国会で、最後まで政権の暴走に歯止めをかけ、国民の立場を貫いてたたかい抜きます。このたしかな野党が参院選挙で躍進することこそ、問答無用の安倍暴走政権にたいする最もきっぱりとした審判になります。


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