2007年6月19日(火)「しんぶん赤旗」
ガザ住民
戦闘激化、食料もない
ハマス制圧下で不安募らす
【カイロ=松本眞志】パレスチナのガザ地区では、イスラム武装抵抗組織ハマスが同地区を武力制圧し、アッバス自治政府議長が非常事態政府を発足させる事態のなかで、住民が不安を抱えた生活を送っています。
十八日、本紙の電話インタビューに応じた主婦オム・モハメドさん(32)は「隣人の息子が戦闘で殺害された」と治安の悪化について語り、「食料が少ない。給料をもらえず食料を買うお金もない。戦闘が激しく買い物をするのに通りに出ることもできない」と嘆きます。
会社職員の男性ハッサンさん(31)は、非常事態内閣発足について「ハマスの反発が強まり、対立が激化して一般市民の犠牲が増える」と危ぐを表明。「イスラエルが検問所を閉鎖し、燃料供給をストップさせたことで住民生活は劇的に悪化する」として、両派の抗争とイスラエルの封鎖で住民が二重に苦しめられると懸念します。
カタールの衛星テレビ・アルジャジーラ十五日付(電子版)は、ハマスが十三、十四の両日にガザ全域に攻勢かけたときの住民の声を伝えています。
ガザ市内に住む学生リナ・シャリフさん(18)は、「戦闘は激しく、弾丸が部屋のなかに撃ち込まれ、窓ガラスが割れた」と語り、「ハマスの民兵が住居を接収してファタハの武装部隊と銃撃戦をした」と証言しました。リナさんは、いま学校は試験期だといい、「どこに行っても弾丸が飛びかっている。試験があるのに外出できない。どうしたらいいの」と不満をぶつけました。
両派の争いをやめさせる集会に参加したという男性シャディさん(21)は、参加者が「われわれの兄弟を殺すな」と叫んだとたんに銃撃戦が始まったと証言。「ハマスがガザで『勝利』したことがよかったのか。僕はそうは思わない。外からの、特に米国とイスラエルの圧力がより強まるだろう」と述べ、ハマス主導のガザに対する経済制裁の強化でこれまで以上に生活が苦しくなると不安を語りました。