2007年6月18日(月)「しんぶん赤旗」

非常事態内閣が発足

ハマスは「謀略」と批判

パレスチナ


 【カイロ=松本眞志】パレスチナの二大政治勢力ファタハとハマスの対立が続くなか、パレスチナの非常事態内閣が十七日、発足しました。ファタハ率いるアッバス自治政府議長が統一政府崩壊後に署名した非常事態内閣設置の議長令に基づくものです。この日発表された閣僚は、ファイヤド首相(前財務相・無所属)、アブデルラザク・ヤヒア内務相(元パレスチナ解放軍司令官・ファタハ)など十二人。残り数人の閣僚名も後日公表される予定です。閣僚のほとんどが無所属で実業家、人権活動家なども含まれています。

 ハマスのアブズフリ報道官は、発足した新政権について、「メッカ合意を含むパレスチナ民族のすべての合意に打撃を与えるもので、米国とイスラエルの利益に奉仕する謀略だ」と批判。「立法評議会が承認しない組閣は憲法違反だ」と主張しました。

 パレスチナの憲法は、「例外的ケース、もしくは非常事態の期間中、議長は立法評議会の上にたち、単独で首相を指名する法令を発令できる」と定めています。アッバス議長は、ハマスがガザ地区全域を制圧しパレスチナ解放機構(PLO)主流派ファタハの拠点を含む議長関連施設を占拠した行為を「軍事クーデター」だと規定しており、「例外的ケース」が適用されるとの立場です。国連やアラブ連盟、欧米諸国は、すでにアッバス議長の措置を「合法」だとして支持する姿勢を固めました。

 イスラエルのオルメルト首相は十六日、非常事態内閣について、「ハマス政権ではないパレスチナ政権はパートナーとなり、共同できる」とし、平和に向けた「新たな機会」だと述べました。

 エルサレム駐在のウォレス米総領事も、アッバス議長に対パレスチナ経済制裁を解除する方向だと伝え、「来週にも(新政権に対する)米国の支援、財政規制(解除)にかんする報告を行う」と語っています。

 カタールの衛星テレビ・アルジャジーラによると、ガザ地区では、ハマスがファタハのメンバーを次々と拘束。ファタハの支持者数百人がエジプト領に脱出したとの情報もあります。イスラエルはガザ地区周囲の検問所の規制を強化しました。

 ハマスのガザ制圧に対抗して、ヨルダン川西岸地区ではファタハがハマスの活動家や支持者に対する規制を強化し、ラマラではバハル副議長がファタハの武装部隊によって立法評議会から強制排除されました。

 ヘブロンではファタハ系武装集団アルアクサ殉教者旅団が検問所を設けてハマスのメンバーを摘発しています。


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